引退はマイナスだった…忘れ去られることは一番の致命傷

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新田恵利編<11>

「1億って話が来てるよ」

 事務所のスタッフから、とんでもない額のオファーを聞いた。宮沢りえさんの、若くて人気絶頂のときの写真集「サンタフェ」が社会現象になるほどの大ヒットして以降、二匹目のドジョウを狙おうと、出版社はこぞって女優さん、元アイドルを口説きまくっているとは聞いていた。そうした誘いは私のところにも舞い込み、すでに何社かからオファーも来ていた。

 物書きの仕事をしたい私の足元を見て「エッセーを一緒に載せてもいい」とニンジンをぶら下げるところもあった。ヌードにどれだけの価値があるのか分からないが、脱げるくらいなら女優の道を進んでいると思った。

「売れなくなったら脱ぐ」というのが芸能界では王道という見られ方があり、それに従うのも嫌だった。

 しかし、もう何度も何度も何度もヘアヌードの話ばかりされて、知らないうちにだんだんと、洗脳されていた気がする。
――やってもいいのかな。

 そんな声が心の中で大きくなっていく。何よりも1億円という金額に心が揺らいだ。

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