沖縄民謡を歌う古謝美佐子さん 2度の転機とヤマトンチュと

公開日: 更新日:

「日本語の曲が苦手な私が…」

 2番目の大きな転機は05年にリリースした「黒い雨」だ。

 実はこの曲、1991年に佐原一哉が江州音頭の歌い手である初代桜川唯丸のために作詞・作曲した反戦歌。黒い雨とは「広島、長崎に原爆が投下された後に降った〈放射性物質を含んだ〉雨」のことである。

雨が降る どんと降る
お空は真っ暗 鉛色
母さん痛いよ 冷たいよ
ホーイ ホーイ
ホーイ ホー
父さん この雨 何の雨
黒い雨 狙った獲物ははずしゃせぬ
逃げても逃げても追ってくる

「私は日本語の曲が苦手です。今でもそうです。それなのに自分から初めて『歌いたい』と思いました。シンプルな歌詞なので思いが届きやすく、初めてステージで歌ったときには泣いてしまいました。沖縄の悲惨な体験を語り継ぎ、今の沖縄の現状を理解してもらいたい。子供たちの未来が戦争のない世であってほしい。そんな思いが詰まっています」

 慰問活動、災害被災地でのライブなど積極的に参加している。10月22日には鳥取・倉吉市で行われた鳥取中部地震復興コンサート「この地球に生まれて」に出演。07年からコラボしている文楽人形・勘緑とのジョイントも実現。観客に感動を巻き起こした。

「つい先日、東京に向かうために那覇空港にいると声を掛けられ、車椅子に乗ったおばあちゃんに『聴きたいさぁ~』と言われ、耳元で民謡を歌うと手を叩きながら口ずさんでくれました。これからも〈私が歌いたい曲を聴きたいと思ってくれる人の前で〉一生懸命に歌っていきたいです」

▽こじゃ・みさこ 1954年、沖縄県嘉手納町生まれ。9歳でレコードデビュー。伝統的な民謡や情き歌と呼ばれるしっとりとした情感を込めた島唄を得意とする。ほか、作詞や三線、琉琴、指笛、三板、太鼓などの楽器演奏もこなす。作家の五木寛之氏が、「いま最も凄い歌手」と絶賛。現在も沖縄県在住。

■古謝美佐子が主題歌を歌う「洗骨」DVD発売中!
監督・脚本/照屋年之(ガレッジセール・ゴリ)
主題歌「童神」/古謝美佐子、主演/奥田瑛二ほか、音楽/佐原一哉
【DVD】3800円【BD】4800円(税別)
発売元:よしもとミュージック

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃