坂本冬美さんと「岸壁の母」…二葉百合子さんは命の恩人
「私の人生を変えた一曲は、やはり『岸壁の母』になりますね。一度、歌手活動を休業しましたが、二葉百合子先生の曲を聴いて復帰することを決意しましたので……」
「あばれ太鼓」でデビューし、「夜桜お七」「また君に恋してる」など数々のヒット曲がある坂本冬美さんは開口一番、こう語りだした。
歌手生活の最大のピンチは、一切の活動を休止すると発表した2002年春。ちょうど15周年を迎えていた。理由はその5年前に最愛の父親が突然、事故で亡くなり、体調不良に陥ったことなどだった。
この時、さまざまな臆測が流れたが、自宅もすべて処分して向かった先は母親がいる故郷、和歌山県の実家だった。ここでデビューから走り続けた時間を振り返り、見失っていた自分を取り戻そうとした。そんな時の出合いだった。二葉百合子の「岸壁の母」。