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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

NHK「パラレル東京」地震描写が息をのむほどリアルだった

公開日: 更新日:

 先週、月曜から4夜連続で放送された、ドラマ「パラレル東京」。首都直下地震を描くシミュレーションドラマだった。物語の舞台は架空の民放テレビ局だ。このドラマの放送初日と同じ12月2日、夕方の東京をM7・3の巨大地震が襲う。テレビ局のスタジオでは、スポーツ担当の倉石美香(小芝風花、好演)が急きょ、キャスターを務めることになる。

 まず、ドラマとはいえ「どこで、どんなことが起きるか」の描写が具体的かつリアルで、見ていて息をのむほどだった。それは被害予測など最新の研究データに基づいているためだ。

 初日の建物崩壊、火災同時発生、群衆雪崩。2日目の火災旋風、デマによる情報混乱、広域通信ダウン。3日目には避難所の食料不足、通電火災、閉じ込め被災者救出の難航。そして4日目は余震による土砂崩れ、堤防決壊の危機も迫る。

 一方、こうした状況を伝え続けるメディア側も多くの葛藤を抱える。行政も機能停止する中、「未確認だが重要な情報」をどうするのか。テレビの呼びかけで多くの命が救われる場合も、その逆もあり得るからだ。キャスターの美香も悩むが、政府に忖度(そんたく)して躊躇(ちゅうちょ)する上司(室井滋)に向かって叫ぶ。

「起きたことを伝えるだけの報道に意味はあるんですか!」

 たった今から準備をしよう。見る側にそう思わせてくれた意義は大きい。

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