著者のコラム一覧
二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

赤塚不二夫編<7>入院先でもサンマ焼き、焼酎を飲んでいた

公開日: 更新日:

 秋の夜だった。「知人が築地からサンマを持ってきてくれた」と夫人はサンマを焼いてくれた。焼酎と一緒に「やはりサンマはうまい」と舌鼓を打っていた時だった。看護師が飛んできた。「すみません。魚を焼くのだけはやめてください」と注意してきた。IHでも魚を焼けば煙と臭いが出る。ドアの隙間から漏れて廊下に臭いが充満。他の部屋からクレームが入った。

 ウオッシュアウト入院では先生の表情も明るく、院内を散策することもあったが、そう長くは続かなかった。

 1997年、吐血で緊急入院。検査結果は食道がんだった。最初は民間療法を選択したが、2度目の入院で手術。不死鳥のように蘇った。自宅で行った退院会見で水割り片手に話すパフォーマンスで話題を呼んだ。

 退院後は先生の新たな一面を見た。がんを克服したことで、テレビは「回復までの軌跡」と特番の申し出。出版社からは「がん克服を本にしましょう」と持ち込む話が殺到した。先生はすでにすべての依頼を断っていた。

「僕はね、自分の病気を商売にするほど落ちぶれてはいないよ」というのが理由だった。漫画家としてのプライドだった。赤塚氏を改めて敬服した。夫人もこう話してくれた。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い