著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

「ゴッドタン」はまるで秘密クラブ…1000回先まで放送希望

公開日: 更新日:

 土曜深夜のバラエティー番組「ゴッドタン」(テレビ東京系)が700回を突破した。放送開始から13年。レギュラー陣は、おぎやはぎの小木博明と矢作兼、劇団ひとり、そして松丸友紀アナウンサーである。

 変わらないのは出演者だけではない。自分たちのやりたい笑いに特化し、アナーキーな企画を連射する姿勢も変わっていない。

 700回を記念して、各メンバーの「神シーン」が流された。パンツ一丁でキモンスター(キモい怪物)に変身する小木。「私立恵比寿中学」の柏木ひなたとペアを組み、ただの「中年ファン」と化して踊りまくる矢作。

 さらに、劇団ひとりは女優のみひろを相手に、瞬間芸の極致ともいうべきアドリブを駆使してラブシーンを演じていた。3人とも最低のくだらなさで最高の面白さだ。しかも、この「最低で最高の笑い」は3人だけのものではない。番組に登場する他の芸人やタレントも、ここではリミッターが外れたかのような笑いを披露する。いや、“素の実力”で勝負せざるを得ない。その意味では怖い番組なのだ。

 13年の間にはさまざまなことがあった。しかし東日本大震災に遭い、テレビ広告費がネットに抜かれ、コロナ禍で「不要不急」と言われても生き延びてきた。この地下の秘密クラブのような「笑いの場」が唯一無二の存在だからだ。ぜひ1000回の先まで続けて欲しい。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い