「独身のカリスマ」ジェーン・スーが描く自伝的エッセイをドラマ化

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ドラマ24「生きるとか死ぬとか父親とか」(テレビ東京系/毎週金曜深夜0時12分~)

 TBSラジオの番組「ジェーン・スー 生活は踊る」のパーソナリティーを務め、音楽プロデューサーで作詞家、エッセイストなど多彩な顔を持つジェーン・スー(48)。同番組は悩み相談コーナーの「相談は踊る」が人気で、「人生相談の名手」「独身のカリスマ」「未婚のプロ」などとも呼ばれている。

 その彼女が「石原慎太郎と渡邊恒雄を足して2で割らない」ような父親との苦い思い出や切ない出来事を描いた同名の自伝的エッセイ(新潮社)が原作のドラマだ。<戦時中に生まれ、戦後社会に飛び出て、必死で働いた父。母との出会い、娘の誕生、他の女性の影、全財産の喪失、母の死……。父への愛憎と家族の裏表を、娘の視点で赤裸々に描く傑作エッセイ>という。

 ドラマの主人公・蒲原トキコ(吉田羊・47)はエッセイストにしてラジオのパーソナリティーを務める40代半ばの独身女性。20年前に母(富田靖子・52)を病気で亡くし、今では70代の父・蒲原哲也(國村隼・65)がたった一人の肉親だ。

 哲也はかつて貴金属商として成功し、一時は外車を乗り回すほど羽振りもよかったが、その後、会社が倒産して全財産を失った。口さがない言い方をすれば「負け組老人」だが、本人に惨めさは微塵も感じられず、羽振りがよかったころに買ったおしゃれな洋服を粋に着こなし、飄々(ひょうひょう)と生きている。

 親子で同居したこともあったが、ことあるごとにぶつかり合い、今は別々に暮らしてほとんど絶縁状態。久しぶりに2人で母親の墓参りをした帰り、哲也が郊外の団地に引っ越すので家賃を援助してほしいと言い出した。トキコは父親について連載エッセイを書き、その原稿料で援助することにした。

 それ以来、2人はしばしば顔を合わせるようになり、母親の妹が入居しているケアハウスを一緒に訪ねたり、子供のころに連れて行ってもらえなかった動物園に行ったりする。そんな年老いた父と中年に差しかかった娘のぎこちない交流が、時にユーモラスに、時に哀愁を帯びたトーンで描かれる。

第6話では親子の間に大きな亀裂が…

 そして、14日放送の第6話「子供とか夫婦とか」では、母親の姉である伯母(三林京子・69)とその娘(渡辺真起子・52)から、母親が流産したことや哲也の不倫などが暴露され、何とかうまくいきかけていた親子の間に大きな亀裂が走る。父と母の『凄絶な過去』を知ったトキコの心の内は……。

 原作を書いた動機について、ジェーン・スー本人がこう書いている。

<24歳で母を亡くし、我が家は、父と娘の私だけに。それから20年が経ったけれど、いまだに家族は増えていない。気づけば私は40代半ば、父は80歳になろうとしている。いま猛烈に後悔していることがある。母の人生を、母の口から聞かなかったことを。(中略)父については、もう同じ思いをしたくない。もっと、父のことを知りたい。もう一度、父と娘をやり直したい。それには、これがラストチャンスかもしれない――>

 我が身を振り返り、自分も親のことについてほとんど何も知らないという人も多いのではないか。帰省した折りには、年老いた親から昔話の1つも聞いてみようか……ふとそんな思いにさせてくれるドラマだ。

 主演の吉田羊は新聞のインタビューで、懸命に家族と向かい合う主人公の姿に「正直に生きることが最後は自分を救うのだと思わせてもらった」と語っている。

 ちなみに「ジェーン・スー」は、若かりしころ外国人割引のホテルに泊まる際に使った偽名で、本名は非公表。本人いわく、「生まれも育ちも東京都文京区の生粋の日本人」という。

▽高橋恵市(フリーライター)山口県出身。大学卒業後、出版社勤務を経てライターに。グルメ紹介や企業広報、テレビ番組批評など幅広く手がける。ペンネームで小説も出版している。

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