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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

原口あきまさは憧れの明石家さんまに憑依し嫌いな自分を好きになれた

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 今では芸人がものまねに転じることは珍しくはないが、当時はあまりいなかった。冒頭の番組でも「ものまねはなって、線引きをされてる」と感じることがあると語っているように、芸人としてものまねで一足飛びに注目を浴びたことに葛藤があったに違いない。

 けれど、それを払拭したのは、さんま本人だった。初めて対面したのは、研ナオコに連れられて楽屋挨拶をした時。「さんちゃん連れてきた」と、研が楽屋の扉を開けると、ソファに座っていたさんまが「出た!」と原口がまねするフレーズで返してくれたのだ。

あの『出た!』がなかったら、もう僕、やってません」(フジテレビ「さんまのまんま」15年3月29日)と原口は言う。その際、さんまは「ようこんだけ俺を研究すると感動する」と伝えた上で、「おまえのものまね見たらな、俺がいかにテレビ向きかが分かるわ」と笑ったそうだ(フジテレビ「ホンマでっか!?TV」21年7月21日)。

 原口はさんまをまねする前、自分を好きになれなかったという。けれど、「さんちゃんのまねするようになって、自分のことが好きになっていってしもうたんです。さんちゃん、よく言うでしょ、『俺、自分の一番のファンやねん』って」(「さんまのまんま」=前出)。憧れの存在に思想まるごと憑依し、原口はなりたかった自分になっていったのだ。

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