著者のコラム一覧
太田省一社会学者

1960年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本、お笑い、アイドルなど、メディアと社会・文化の関係をテーマに執筆活動を展開。「紅白歌合戦と日本人」(筑摩書房)、「芸人最強社会ニッポン」(朝日新書)、「21世紀 テレ東番組 ベスト100」(星海社新書)など著書多数。最新刊は「放送作家ほぼ全史」(星海社新書)。

高田文夫は80年代のお笑い&バラエティー全盛の中で放送作家の新たな立ち位置を見せた

公開日: 更新日:

 だが本来やりたかったお笑い番組がなかなかできず悶々としていたときに、まだ売れる前のビートたけしに出会う。年齢も近く、好きな笑いも近かった2人はたちまち意気投合、毎日のように会うようになった。そして漫才ブーム。たけしの組むツービートも一気に国民的人気者になった。

 そこに、たけし一人での仕事の依頼が舞い込む。ラジオの深夜放送「オールナイトニッポン」のパーソナリティーの仕事である。いまは違うが、当時は漫才コンビの一人だけが仕事をすることは基本的になかった。だがニッポン放送側は、ぜひにと言ってくる。たけしの所属事務所は3カ月ならと引き受けたが、ひとつだけ条件をつけた。それは、極度の人見知りであるたけしのそばに、高田文夫がずっとついていることだった。

 この“共演”が、高田文夫の運命を変えた。たけしの歯に衣着せぬ毒舌マシンガントークに当意即妙の相槌を打ち、「バウバウ」という独特の笑い声(松村邦洋が後に物まねして、はやらせたことは有名だろう)で場を盛り上げる高田もまた、人気者になっていった。

 メインの演者というよりは、コンビの「相方」のようなポジションで抜群の存在感を発揮した高田文夫。1980年代のお笑い、バラエティー番組全盛期のなかで、放送作家の新たな生き方を示したと言える。 (つづく)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃