城下尊之
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城下尊之芸能ジャーナリスト

1956年1月23日、福岡県北九州市生まれ。立教大学法学部卒。元サンケイスポーツ記者。82年、「モーニングジャンボ 奥様8時半です」(TBS)の芸能デスクとなり、芸能リポーターに転身。現在は「情報ライブ ミヤネ屋」(読売テレビ)、「朝生ワイド す・またん」(読売テレビ)、「バイキング」(フジテレビ)に出演中。

加山雄三、吉田拓郎引退報道で思い出す…タレントの「衰え」とは何なのか?

公開日: 更新日:

 十数年以上も前の話だが、あの加藤登紀子が有楽町のオープンスペースで、生で歌声を披露したことがあった。「百万本のバラ」を歌っていて、それに聴きほれていたところ、偶然、彼女とは別のレコード会社であるキングレコードの名物宣伝マンが通りかかって、声をかけてきた。

■ファンが求めるものは高い

「いやあ、やっぱりオトキさんはいいねぇ。歌声も最高」と言うので、僕は「でも、今日はちょっと調子が悪いのか、一番高いところが……ホラ、かすれ気味でしょう?」と答えた。すると、彼は「城ちゃん、それは厳しいよ。年齢と共に少しずつ、声の幅がキツくなってくるもんだ。ウチの大物歌手なんか、もっと声が出てないよ」と返してきた。

 ふたりで大笑いしたが、声量や音域に自信がなくなってくるとなると、ファンに見せられないという意識が出てくるようだ。

 それで思い出したのが、浅草オペラを歌い続け1980年代に89歳で亡くなった田谷力三さんのことだ。心臓で倒れて亡くなったと思うが、その倒れる2週間前にもステージに立っていて、昔と変わらぬ美声を披露していた。田谷さんは高齢にもかかわらず、自宅のマンション6階の階段を上り下りし、ボイストレーニングは毎日欠かすことがなかった。「声は鍛えれば衰えることはない」と言ったことを覚えている。まさにその通りの人だった。

 もちろん、タレント活動はそれだけではない。ファンが求める、見た目のイメージも大事で、いつまでも変わらぬ姿を要求される。そこが大変なのだ。

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