佐高信
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佐高信評論家

1945年山形県酒田市生まれ。「官房長官 菅義偉の陰謀」、「池田大作と宮本顕治 『創共協定』誕生の舞台裏」など著書多数。有料メルマガ「佐高信の筆刀両断」を配信中。

観光ポスターを見ながら「長崎は今日も雨だった」を作曲 ヒットメーカー彩木雅夫の心意気

公開日: 更新日:

彩木雅夫(2022年9月16日没 享年89)

 落合恵子らのレディフレンドからヒンシュクを買う私の好きな歌に「なみだの操」がある。宮路オサムが歌ってヒットしたが、作曲が彩木雅夫。作詞が千家和也で、

<あなたのために守り通した女の操>

 と始まる。

 HBC(北海道放送)のラジオディレクターから作曲家になった彩木は札幌に住んでいた。そこを宮路が訪ねる。読売新聞社文化部の『この歌この歌手』(現代教養文庫)によれば、東京のお笑いグループ「殿さまキングス」の一人だった宮路は、「自分の歌が欲しかった」。

 そのころ、大阪のお笑いグループ「ぴんからトリオ」が「女のみち」というヒットをとばす。「東の殿キンは西のぴんからに対抗する存在になる」とねらいを定めてチャンスを与えたのがビクターの元ディレクター、斎藤豊である。斎藤は上司だった滝井利信に頼んでデビューの約束を取り付ける。滝井は担当ディレクターに鶴田哲也を指名した。鶴田は後に作家となった山口洋子が「演歌の虫」のモデルにした男である。

 鶴田は千家の詞で彩木の曲をと決めたが、彩木がなかなか取りかからない。鶴田に言われて宮路は札幌に向かった。彩木は宮路に身の上を聞く。問われるままに宮路は高卒後、茨城県から上京し、就職した東京の劇場で下積み生活を送り、やっと一言セリフのある役についたのに「なまりがある。俳優失格」と言われて流しの道に入ったことなどを話した。

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