ブラピ「バビロン」と小出恵介「銀平町シネマブルース」に見る映画館の存在意義

公開日: 更新日:

■“映画館”は単に作品を観賞する場ではない

 最近、Netflixの登録者数の伸び率が鈍化していることが話題になったが、それでもコロナ禍によって、配信で映画を見る人は世界的に増えてきた。映画館は時の流れによって、やがて消えていくことになるのかもしれない。だが“映画館”は単に作品を観賞する場ではなく、「バビロン」のジャックや「フェイブルマンズ」のサミー少年のように、その後の人生を変えてしまうような体験をもたらす場所でもある。大きなスクリーンで見る作品の感動はもちろん、その場での観客の熱狂や、あるいは失望からくる落胆の反応まで、ライブな場である映画館でしか味わえない実体験。これもまた映画というメディアの一つの魅力で、それを配信が主流になることで手放してもいいのか。世界の映画人は、そんな思いを作る作品の中で訴えかけているかのようだ。配信や映像ディスクで、お手軽に映画を楽しむのは悪くない。しかし作品とのファーストコンタクトは、やはり映画館で。続々と公開される“映画館”がポイントの映画によって、そのことを再認識する人が増えれば、映画館はこれからも暗闇の中で多くの人と共同幻想を実体験できる場所としてその命脈を保っていけるかも知れない。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった