中小・零細企業で「従業員退職」倒産が急増…賃上げしたら経営難、しなければ人材難で八方ふさがり
中小・零細企業がますます青息吐息だ。東京商工リサーチ(TSR)が8日発表した2025年度の企業倒産(負債額1000万円以上)は、前年度比3.5%増の1万505件。12年ぶりの高水準で、従業員10人未満の企業の倒産が全体の約9割を占めた。
長引く物価高と人手不足がおもな要因だが、特に深刻なのは「人手不足」倒産が前年度比43.0%増の442件と過去最多だったこと。その原因はズバリ「賃上げ」だ。賃上げが資金繰りの負担になった「人件費高騰」倒産が77.2%増の195件、従業員の退職で業務に支障を来した「従業員退職」倒産が40.2%増の108件と大幅に増加し、こちらも過去最多を更新した。
物価高や人件費の上昇などで収益が落ち込み、大手と中小企業の賃金格差が拡大している。利益償還できず、収益で賃上げ原資を確保できない企業は、従業員の安定雇用にも影響が広がる実態を示している、とTSRは分析している。
「退職により従業員が減ったことで、これまで引き受けてきた仕事が回らなくなる。期限内に納入できなくなれば信用を失います。取引先も『仕事ができないなら、仕事を回すのをやめよう』という判断になって、経営が圧迫される。賃上げに関する報道が増えていますから、従業員が待遇のいい会社に移る動きが加速しているように思います。採用や従業員の退職防止には賃上げが避けられず、賃上げできないと人材流出が進み、経営悪化に陥る悪循環です」(TSR情報本部・坂田芳博課長)


















