「夜明けのハントレス」河﨑秋子著
「夜明けのハントレス」河﨑秋子著
北海道に暮らす岸谷万智(マチ)は、大学生のとき恋人の部屋で狩猟の雑誌を目にして興味を持ち、それがキッカケで狩猟の世界に足を踏み入れた。大学近くの鉄砲店で狩猟のイロハを教わり、免許を取得。猟友会のメンバーとの初の鹿撃ちを経て、未熟ながらマチはハンターとして歩き出す。
「一人でいく経験」を求め、単独で入った夕張の山で遭遇した若い痩せたクマ、半農半猟で暮らす80歳のアヤばあや、猟友会のはみ出し者勇吾との出会い……。さまざまな経験を通し、マチはなぜ自分が狩猟をするのか、その答えに近づいていく。
そんなある日、マチが山で出会った山菜採りの夫婦がクマに襲われた。すぐにクマ駆除のチームが組まれ、マチも手伝いに加わる。
「肉弾」「ともぐい」などでクマ撃ちを描いてきた著者の最新刊は、令和の北海道が舞台だ。主人公のマチは実家が裕福で、容姿端麗。それゆえに誤解されることも多く、孤独を抱えている。そんなマチがハンターとして山の中で一人で「命」に対峙する。撃たれる動物にとって撃った人間のラベルは関係ない──。
草をかき分け斜面を登り、クマを追うマチの視線は読者の目と重なり、風景が広がる。ラストのマチとクマとの一対一の戦いは息をのむばかりの緊張感だ。 (文藝春秋 2035円)



















