著者のコラム一覧
牧村康正ジャーナリスト

1953年、東京都生まれ。立教大学卒業後、竹書房に入社し、漫画誌、実話誌、書籍編集などを担当。立川談志の初の落語映像作品を制作。実話誌編集者として山口組などの裏社会を20年にわたり取材。同社代表取締役社長を経て、現在フリージャーナリストとして活動。著書に「ごじゃの一分 竹中武 最後の任侠ヤクザ」「『仮面』に魅せられた男たち」(ともに講談社)などがある。

松田優作「国籍の重さと女の重さ」(1)国籍問題への沈黙は、差別という暴力に対する正当防衛だった

公開日: 更新日:

 ですから、パパが日本人に帰化したら、オーバーにいえば社会的な影響もあるのではないかと思っているのです」

 つかは相応の覚悟を持って韓国籍を選んだ。しかし、娘の将来を考えたとき心は揺れ、悩みに悩んだ末、娘を日本人である妻の姓で登録した。

「おまえの姓を変え、せっかくパパを産んでくれた韓国という国に、本当に申し訳なく思いました。少なくとも、パパの分の家系は絶えるのですから」(同前)。つかこうへいの芝居を見た者ならば、こうした深い葛藤が創作の原点にあったことを理解するだろう。

■母の命で米留学

 優作は実の父親が日本人だったこともあり、心情的に日本と韓国の股裂き状態になることはなかった。優作はともかく日本人になりたかったし、東京へも出たかった。しかし母・かな子の考えは優作にアメリカ国籍を取らせることにあった。そのためかな子は優作にアメリカへ留学して弁護士資格を取るよう命じる。

 かなり唐突な命令ではあるが、これはたまたま下関を訪れていたかな子の妹がアメリカ国籍を得てカリフォルニアに住んでいたことがきっかけになっている。優作は松田家の絶対君主であるかな子の命令に当初は抵抗しながらも、差別がはびこる下関を飛び出すいい機会と捉え、高校二年の十一月、アメリカへ渡った。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    北島三郎(3)「北島ファミリー」の長女・原田悠里が語る御大

  2. 2

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  3. 3

    「マクドは健康保険と年金に加入できてよかった」 シニアが働き続けるために必要なこととは?

  4. 4

    東京・蒲田の2駅結ぶ蒲蒲線、大田区と地元を取材して分かった実現のハードルと地元の思い

  5. 5

    NHK夏の音楽特番「うたであえたら」は北川景子のMCが見事 カオスと化した近年の紅白はお手本に

  1. 6

    菊池風磨はジャニー喜多川氏の“推薦”もあって慶大総合政策学部に進学 仕事の合間に1日10時間の猛勉強

  2. 7

    KDDIが楽天モバイルへの「ローミング」終了でライバルの“品質低下”を狙い撃つ

  3. 8

    豊昇龍が長期離脱で大の里までピンチ! “ひとり横綱”の重圧で「共倒れ」にならないか

  4. 9

    徳川光圀(1)水戸黄門は全国漫遊などしていない 主に出かけたのは江戸と領地の往復

  5. 10

    永野芽郁がキャバ嬢で「復帰」もM!LKファンやきもき…共演するかもしれない佐野勇斗への“キラー”ぶり警戒