著者のコラム一覧
牧村康正ジャーナリスト

1953年、東京都生まれ。立教大学卒業後、竹書房に入社し、漫画誌、実話誌、書籍編集などを担当。立川談志の初の落語映像作品を制作。実話誌編集者として山口組などの裏社会を20年にわたり取材。同社代表取締役社長を経て、現在フリージャーナリストとして活動。著書に「ごじゃの一分 竹中武 最後の任侠ヤクザ」「『仮面』に魅せられた男たち」(ともに講談社)などがある。

松田優作「国籍の重さと女の重さ」(1)国籍問題への沈黙は、差別という暴力に対する正当防衛だった

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 優作が叔母の家から通ったカリフォルニア州のシーサイド高校はスパルタ教育が売り物で、英語力が不十分な優作には勉学面でのハードルが高かった。またアメリカに特有の人種差別も優作を失望させた。叔母は自分の離婚訴訟を抱えており、こまやかに優作の面倒を見る余裕もなかった。

 すっかり当てが外れた優作は一年たらずで日本に舞い戻り、東京に住む長兄一家のもとに身を寄せる。母には無断の帰国だったため、長兄は一年後に自分たちが下関へ帰ることを条件に優作を東京に残した。異父兄弟はみな優作に優しかった。

 憧れの東京に居を定めた優作は、定時制高校を経て七〇年に関東学院大学に入学し、七一年の春先、金子信雄が主宰する劇団「新演劇人クラブ・マールイ」に入団。ここで最初の妻になる美智子と出会い同棲生活を始める。

 七二年四月、文学座付属演技研究所に合格。大学をやめた優作は「飛び出せ!青春」に端役で出演しチャンスをつかみ、七三年、「太陽にほえろ!」のジーパン刑事としてレギュラー出演する。さらにこの年は「狼の紋章」で映画初出演も果たした。しかし美智子によれば、この時期の優作は常に苛立ち、美智子への不可解な態度になって表れたという。 =つづく

▽一九四九年九月二十一日、山口県下関市生まれ──一九八九年十一月六日、東京・武蔵野市の西窪病院(現・武蔵野陽和会病院)で膀胱がんで死去。四十歳没。

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