最新回の朝ドラ「あんぱん」ウラの見所~のぶの不器用設定はどこへ? ボツ原稿を持ち歩く嵩…まだまだあるクエスチョン
第20週「見上げてごらん夜の星を」#96
【朝ドラのツボ!】
独立した嵩(北村匠海)は独創漫画派という集団に所属し、そこで割り振られた仕事をこなしていた。だが、決して順調とは言えなかった。嵩を支えるため、のぶ(今田美桜)は鉄子(戸田恵子)に秘書を続けさせてほしいと頭を下げる。
そんな中、八木(妻夫木聡)の店で自分の漫画は大衆受けしないと愚痴る嵩。八木は大衆に媚びずに嵩らしいものを書けばいいのだと諭す。そこに買い物に来た鉄子が、嵩に聞きたいことがあると言い…。
【こちらもどうぞ】「あんぱん」手嶌治虫(眞栄田郷敦)と運命の出会い…だけど。“靴紐”シーンは何かの伏線なの?
【本日のツボ】
のぶ、不器用設定はどこへ?
※※以下、ネタバレあります※※
「お客さん、ご希望は?」「襟足を短めに」…長屋の前で嵩の髪をカットするのぶ。まさに“仲良きことは美しき哉”という光景ですが、あれれ。たしかのぶは裁縫も苦手な不器用だったはず!?
そんなのぶに髪を切られるのはなかなかの恐怖です。てっきりとんでもない髪型にされてトホホな嵩という構図かと思ったら、そんなことはなく…。
カットしながら、これまでの「嵩」呼びから「嵩さん」呼びに変わりました。「偉い先生になるから“嵩”では失礼」とのぶ。「嵩さん」と呼ばれてまんざらでもない嵩。微笑ましい光景ではありましたが、それにしても、のぶの不器用設定はどこへ行ってしまったのでしょうか?
嵩にも少々疑問が。“独創漫画派”という集団に所属したとのことでしたが、その集団にどうやって入ったのか、まったく描かれていないので、喫茶店で嵩とつるむ4人がただのモブにしかみえません。
漫画家1本でやると決意した嵩に出来た同業仲間なのだから、そこはしっかり描いて欲しかったですね。
ボツ原稿を持ち歩く嵩…他にもある疑問点
出版社から穴埋めで依頼された漫画も、電話1本でキャンセル。まあ駆け出しの頃はそんなこともあるのかもしれませんが、仮にも嵩は、5年間、サラリーマンをやりながら漫画の仕事で、給料よりも多く稼げるようになったから、晴れて漫画1本でやることになったはず。
このドタキャンエピソード、今頃ですか、という気がしないでもありません。
さらに、キャンセルされた「メイ犬DON」の原稿を封筒に入れて持ち歩いている謎、そして、「このキャラクター、百貨店の宣伝部に居た頃から描いてるんでしょ」と、まだ「カミさんしか読者がいない」はずの漫画についてやたら詳しい仲間の1人。
あまりにも「?」が多過ぎで、感情移入も何もあったもんじゃありません。
百歩譲って、「あんぱん」のヒロインはのぶなので、嵩は二の次三の次ということであれば、納得もいくのですが、その、のぶについても、言うほどしっかり描かれているわけではありませんし。
子役ちゃんたちの達者な演技に魅せられ、今度の朝ドラは間違いない、と狂喜乱舞していた頃を懐かしく思う今日この頃です。
(桧山珠美/TVコラムニスト)