食い違う日米合意、「相互関税」も日本は特例対象外…トランプ関税は「持久戦」待ったなし

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 ♪文書もねえ 縛りもねえ 引き下げ時期は分からねえ 訪米9回ぐーるぐる──。地元の演芸会でカラオケを披露したことのある赤沢亮正経済再生相には「俺ら東京さ行ぐだ」に合わせ、反省を込めて、そう歌ってもらいたい。

 合意文書もない、法的拘束力もない、自動車関税の引き下げ時期も分からないという「ないない尽くし」の日米関税合意に唯一あるのは、マリアナ海溝のように深く大きな日米間の齟齬。石破政権は「着実な履行」の実現まで持久戦を強いられそうだ。

■日本は「相互関税」特例の対象外

 日米合意を巡っては、約80兆円(5500億ドル)の対米投資や防衛装備品の追加購入に関して日米間の食い違いが指摘されてきたが、7日発動の「相互関税」(税率15%)についても認識のズレが浮き彫りになっている。

 日本側の説明によれば、相互関税が発動しても、すでに税率15%以上の品目は既存の税率のまま、15%未満の品目が一律15%になる。この特別措置で合意したはずが、米政府が6日に公表した連邦官報には日本が特別措置の対象との記載はなく、対象は「EUのみ」と明記された。

 このままでは日本からの輸入品すべてに15%が「上乗せ」されることになる。なぜ、そんな事態に至ったのか。赤沢大臣は5日の参院予算委員会で「(米側の)事務的なミス」と説明。日米間の食い違いに懸念をあらわにする野党議員に対し、「(米政府から)日本についてはEUと同じ扱いになるから心配するなという確約を得ている」「ぜひ、私を信じていただきたい」と訴えたが、そんな口約束をどう信じろというのか。

 改めて合意内容を確認するため、赤沢大臣は5日から9回目の訪米に出発。ワシントンに到着した後、相互関税について「(合意時の)説明と違う内容になっているので経緯を説明してもらう」、現状27.5%の自動車関税の引き下げに関しては「できるだけ早く実施されるよう強力に働きかける」と意気込んだ。

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