「ちいさな手のひら事典魅惑の国ジャパン」クリスティーヌ・バリー著、神奈川夏子訳

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「ちいさな手のひら事典魅惑の国ジャパン」クリスティーヌ・バリー著、神奈川夏子訳

 フランス人著者が、外国人ならではの視点で日本の歴史や文化、風俗を紹介するビジュアルブック。

 日本は「6852の島と小島からなる火山帯を中心とした列島で、その国土は3000キロメートル以上に広がり」、最北部はカナダと、最南部はキューバとほぼ同じ緯度で、気候には大きな違いがある──など、まずは地勢の特徴や人口分布にはじまり、日本人の自然崇拝の心や列島に人が住み始めた紀元前3万年以降の歴史をざっと概観。

 その上で、芸者や富士山、サムライ、ボンサイなど、世界中に知られる日本の「名物」から、子どもの日やひな祭りなどの行事、演劇(能や狂言、歌舞伎、文楽)、セイザ(正座)、スープ(味噌汁)とラーメンまで、硬軟さまざまなトピックスを取り上げ解説したまさに事典。

 それぞれ、簡潔でありながら、要点を押さえた日本人も納得の解説で、ついつい読ませられる。

 例えば、「サムライの甲冑」の説明では10世紀ごろのサムライの甲冑の構造に始まり、11世紀の軽量化の過程、ヨーロッパの騎士の甲冑との比較、さらに火器が登場した16世紀の甲冑の特色まで1ページで簡潔に紹介。

 この項では、鎧兜を身につけた武将とその配下を描いた、どうやら陣幕内の様子を描いたと思われる絵の真ん中に、なぜか見慣れぬ瓶詰の絵が描かれている)。

 これは、19世紀から20世紀にかけ、ヨーロッパで食品会社の瓶詰商品のために製作された古い広告用カード(クロモカード)の中から、日本の文化や暮らしぶりを紹介するカードを画像に用いているからだ。

 多色刷り石版印刷のこのカードは、コレクションアイテムにもなっているようで、味わいがある。

 ほかにも、浮世絵や古いポストカードを用いたと思われる絵など、さまざまな関連図版が収録されている。

 中には、武道を解説した項に辮髪の子供が戦っている絵が添えられるなど、日本人からするとやや首をかしげてしまうような図版もあるのだが、それはご愛嬌(そうした図版には実際とは異なる描写だとの注意書きが添えられている)。

 米国人宣教師が体の不自由な妻のために造らせたのが始まりという言い伝えもある人力車が、日本発祥で、かつて輸出の目玉商品だったことや、日本の国旗や日の丸、鳥居の起源など、きっと読者も初めて知る(知ってたけど忘れてしまった)ことを含め、70余のトピックスで日本のあれこれを再学習。

 書名通り、手のひらにすっぽりと収まる可愛らしいサイズと、小口に金箔を施すなど凝った装丁で、訪日観光客へのお土産、そして日本のことを伝えるアンチョコとしても最適のお薦め本。

(グラフィック社 1980円)

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