漫画『おおきく振りかぶって』の作者ひぐちアサさんが高校野球愛を激白!「原点は88年の『さわやか旋風』」
弱気で卑屈、でもマウンドは決して譲らない。そんなエース投手・三橋廉を主人公にした高校野球漫画「おおきく振りかぶって」(講談社)。累計発行部数1800万部の大人気作品だ。
軟式から硬式に変わった西浦高校の野球部メンバーは全員1年生。監督はソフトボール出身の女性。野球だけでなく学生生活や選手や周囲の人間の心理を丁寧に描いた作品で、数ある高校野球漫画の中でも「異色」といわれてきた。
そして特徴的なのが、リアル過ぎるエピソードの数々。そこには作者の取材力が詰まっている。
高校野球を愛してやまない作者の漫画家・ひぐちアサ氏に、作品の執筆秘話、いまの高校野球について話を聞いた。
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──まず、高校野球を描こうと思ったきっかけを教えてください。
「もともと『ドカベン』の影響で高校野球が好きでした。1988年、私が高校3年のときに当時の浦和市立高校、今はさいたま市立浦和高校ですが、そこが母校(浦和西高校)のすぐ近所で、同い年の子たちがノーシードで夏の全国大会に勝ち上がったんです。『さわやか旋風』と騒がれて、チーム打率が(甲子園49校中)最低(.252)ながらベスト4。応援していたら楽しくて一気にキャラクターまでできてしまった。いつか絶対に高校野球漫画を描こうと思いました」