突然告げられた強制米留学、現地では毎日ドミニカ人全員に飯を奢り続け、球団の領収書を切った
1年目の春季キャンプ中盤、星野仙一監督に呼び出された。宿舎の監督室に集められたのは、俺とドラフト4位で同期入団の荒川哲男、一軍投手コーチに昇格したばかりの高橋三千丈さん、チームマネジャーの福田功さん。星野監督はひと言、こう告げた。
「おまえら、明日からアメリカに行ってこい」
驚きを通り越して、いったい何を言われているのか、まったく理解できなかった。しばしの沈黙。福田さんが恐る恐る「パスポートとかビザとか、いろいろ準備があるので、さすがに明日は……」と言うと、監督はこう一喝した。
「俺が行けって言ったら明日から行くんや! ただちに行け!」
めちゃくちゃだ。ちなみに「おまえら」の中にはコーチの三千丈さんも含まれていて、「初めて聞かされた……」と面食らった表情をしていた。結局、パスポートを作り、ビザがおりて準備が整ったのは1カ月後。キャンプが終わった後の3月に海を渡り、ドジャース傘下のルーキーリーグに野球留学することになった。
米国に行くだけでも衝撃だったのに、星野監督は俺にこう付け加えた。