「がんウイルス療法」のスゴイ成果と今後の課題…東大や岡山大などで続々
がんのウイルス療法が話題になっています。特定のウイルスの遺伝子を組み換えてがん細胞の中だけで増殖するようにして患者に投与すると、正常細胞を傷つけることなく、がん細胞のみを選択的に次々と破壊する仕組みです。
東大が開発した「テセルパツレブ」は4年前、悪性脳腫瘍の治療薬として世界で初めて条件付きながら承認されました。この薬が使用するウイルスは、唇に水疱ができる口唇ヘルペスの原因として知られる単純ヘルペスウイルス1型の3つの遺伝子を改変。安全性と治療効果を高めています。
治療効果については、たとえば破壊されたがん細胞が抗原となり、免疫が機能しやすくなるため、薬が投与された部位だけでなく、遠隔がんへの治療効果も期待できます。
さらに東大と信州大は共同でより効率的な次世代型のウイルス療法を開発し、より多くのがんへの治療効果を調べるため、まず皮膚がんの一種メラノーマへの臨床試験を実施。メラノーマは進行が速いのが特徴です。
このほど発表された研究結果によると、通常治療とウイルス療法を併用したグループは、9人中7人に効果があり、その割合は77.8%でした。一方、通常治療のみのグループで効果があったのは35%にとどまりますから、ウイルス治療を併用することで優れた治療効果が見て取れます。