大坂なおみは何を隠している?ドタバタに見えるコーチ交代は全米復活に向けた絶妙な戦略に違いない
古い話で恐縮だが、半世紀前に「ナオミの夢」という曲がはやった。
歌ったのはヘドバとダビデというおかしな名前の2人組で、軽快なアップテンポと外国人なまりの日本語が長いこと巷に流れた。繰り返される歌詞が、ナオミ、カムバック──。
2023年夏の出産後、大坂なおみは世界ランク833位から49位まで戻した。セレナの再来とまで言われたメジャー4勝の迫力はなかなか戻らなかった。が、どうやら戻ってきたようだ。
今週のカナダオープンで、大坂はレベル1000の大会としては産後初のベスト4、決勝進出。特に試合巧者スビトリナを6-2、6-2で片付けた準々決勝は圧巻だった。
背景はハードコートシーズンだ。2度ずつ優勝の全米、全豪のハードコートはイレギュラーが少なく、クレーコートや芝のサーフェスよりパワー系の強みを発揮できる。ただ、テニスの難しさ面白さは、スピードと持久力の共存にある。
アンドレ・アガシのフィジカルトレーナーだったギル・レイエスは「テニスは走力ではなく、発進と停止だ」と肉体改造し、コーチのブラッド・ギルバートがメンタルを強化した。テニスはいくらポイントが取れても、闘争心の持続なしに意味はない。