てんかんの薬物療法は発作を起こさないようにする予防が目的
「てんかん」というと、若い人の疾患というイメージを持たれている方もいらっしゃるでしょう。しかし、実際は高齢者の発症も多く、さらには他の疾患の影響でてんかんになるケースもあります。てんかんの治療の基本は薬物療法になりますが、高齢者で抗てんかん薬を服用しているという方は意外と多くいらっしゃいます。
てんかんは大脳の神経細胞の異常興奮によって起こる疾患で、けいれんや意識障害などの症状が繰り返し起こります。少し専門的な話になりますが、正常な脳の神経細胞では興奮シグナルと抑制シグナルのバランスがしっかりとられていて、それによって神経細胞の働きがコントロールされています。
一方、てんかんの場合は興奮シグナルと抑制シグナルのバランスが崩れており、興奮シグナルが過剰であったり抑制シグナルが弱まったりすることで神経細胞の働きがコントロールできない状態(過剰興奮)になっています。そして、この過剰興奮が大脳全般で起こるものを「全般てんかん」、一部分から起こるものを「部分てんかん(局在関連性てんかん)」として区別していて、それぞれに複数種類の発作型・症状があります。てんかんの診断は脳波をとって行われます。