“元祖アイドル球児”太田幸司さんが思い起こす三沢vs松山商…満身創痍だった決勝再試合前夜

公開日: 更新日:

太田幸司さん(甲子園の元祖アイドル球児/73歳)

 夏の甲子園大会が開幕した。荒木大輔松坂大輔斎藤佑樹……。聖地を熱狂させた甲子園アイドルは数多いが、その元祖は間違いなく太田幸司さんだろう。56年前の決勝戦引き分け再試合。青森・三沢高のエースとして1人で計27イニング、384球を投げ抜き、全国の女子中高生に「コーちゃんフィーバー」を巻き起こした。そんな太田さんが自らの現在地、死闘の舞台裏を明かした。

  ◇  ◇  ◇

 ボクは今、中学生に野球を教えている。かつて長男、次男も所属した「宝塚シニア」。宝塚市内の自宅から土・日曜日にグラウンドへ行く。熱心なコーチが毎日指導しているから、ボクは要所をみるだけで余計な口出しはしない。子どもたちはみんな純粋で、心が洗われる気分になるよ。

 なぜ2日間だけかというと、毎日放送のラジオ解説者の仕事もしているからなんだ。といっても今は阪神ではなくオリックスが中心。ソフトバンク戦の九州放送局送り、日本ハム戦の北海道放送局送りが多い。ほかにパーソナリティーを務める番組で、よしもと芸人たちと阪神の話題を取り上げたりもしている。

「宝塚シニア」には、2年生に中学生離れしたごっつい子がいるんだ。投手としてはものすごい球を放り、打者としては豪快弾を連発する。まさに大谷翔平ばりの二刀流。強豪私学の指導者も多く視察にやってくるから、順調に育てば球界に名をとどろかせる選手になるかもしれないよ。

 ボクの夢は、このチームでいい投手を育てることだ。強肩でもコントロールが悪かったボクは、中学1年生まで内外野兼任の野手だった。ある日、野球部の顧問先生に「コウジ、ピッチャーをやれ。ど真ん中めがけて思い切り投げ続けろ」と言われた。地肩が強かったので100球、200球の投げ込みも平気だった。だから肩が強い子には、まず投手をやらせる。体験から学んだ指導法だ。

 2009年からは女子プロ野球機構のスーパーバイザーもやったけど、思い入れは今も強い。今月2日に女子高校野球の全国大会決勝戦が甲子園球場で行われた。5年目を迎えた聖地での開催は、ボクが高野連にずっと訴え続けてきたプランだ。女人禁制の方針でもあったのか、最初はけんもほろろでね。でも、ちょうど機構が活動休止となる2021年に実現して報われたよ。女子野球の発展に少しは貢献できたかなと思っている。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    N党・立花孝志氏に迫る「自己破産」…元兵庫県議への名誉毀損容疑で逮捕送検、巨額の借金で深刻金欠

  2. 2

    高市内閣は早期解散を封印? 高支持率でも“自民離れ”が止まらない!葛飾区議選で7人落選の大打撃

  3. 3

    箱根駅伝は「勝者のノウハウ」のある我々が勝つ!出雲の7位から良い流れが作れています

  4. 4

    女子プロレス転向フワちゃんいきなり正念場か…関係者が懸念するタレント時代からの“負の行状”

  5. 5

    高市首相「午前3時出勤」は日米“大はしゃぎ”会談の自業自得…維新吉村代表「野党の質問通告遅い」はフェイク

  1. 6

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  2. 7

    我が専大松戸は来春センバツへ…「入念な準備」が結果的に“横浜撃破”に繋がった

  3. 8

    学歴詐称問題の伊東市長より“東洋大生らしい”フワちゃんの意外な一面…ちゃんと卒業、3カ国語ペラペラ

  4. 9

    村上宗隆、岡本和真、今井達也のお値段は?米スカウト&専門家が下すガチ評価

  5. 10

    自死した元兵庫県議の妻がN党・立花孝志党首を「名誉毀損」の疑いで刑事告訴…今後予想される厳しい捜査の行方