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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

スバルが作った自動車アプリ「スバロード」一体どこが凄い? ホントに楽しい?

公開日: 更新日:

 一般に「ナビ」といえば目的地までの最短ルートを案内するシステムであり、スマホアプリを指す。しかし敢えて「最短距離を案内しない」ドライブアプリがあるぅぅ? しかもあのスバルが独自開発してるだとぉぉ? というわけで突撃してみた。

 それが今回検証した「スバロード」(SUBAROAD)だ。

 元々は2020年にリリースされたアプリで、先日7月に28個目の推奨ルートである『STIの真髄はこの道から…“赤城のニュル”を駆ける!』を追加。実際に試しに群馬まで行ってきたのだ。

 乗ったのはスバル レヴォーグのSTIスポーツで、177psの1.8ℓフラット4ターボを搭載し、足も固められた走りのモデル。そこにスバロードを入れたiPhoneをセットしてゴーだ。

ナビアプリではなく「ドライブアプリ」

 最初は誤解していて、ガッカリした部分から言うと、スバロードは正確にはナビアプリではない。現在地にて目的地を入れるとルートを自動案内してくれるものではなく、現在全国28カ所の推奨ルートがあり、そこをなぞるもの。カテゴリー的には「ドライブアプリ」だ。

 とはいえ、ルート案内だけでなくGPS信号と連動し、名所や風光明媚な道では当地の歴史や魅力を音声案内してくれるし、今回の「赤城のニュル」ではスバル専属GTドライバーの掛け合いトークまで聞ける。

 言わば美術館で名画の前に行くと、勝手にイヤホンで解説してくれる音声ガイドのドライブ版。そういうエンタメアプリと解釈して欲しい。

 驚きは、単純に案内してくれる道のレベルだ。今回は満足度日本イチとも言われる群馬の道の駅、川場田園プラザを出発し、貝野瀬ビューポイント、奥利根ワイナリーを経由し、パワースポットの貴船神社まで行くルートだが、いきなり太い国道ではなく、細いクネクネしたワインディングを案内される。正直、運転好きは嬉しいかもしれないが、クルマ酔いする人は嫌がるかもしれない。

ダウンロード数は10万人と予想以上!

 さらに驚くのは信号の少なさ。特に「赤城のニュル」前半は、記憶では信号が1つあったかないかぐらいで、一瞬欧州の田舎道を走ってるような気分になる。

 しかし、このある種の「クルマ好き特化型アプリ」な側面がスバロード最大のキモで、ダウンロード数は10万人と予想以上に多く、しかも全国20カ所を超える全コースを何回も走った猛者であり、ベビーユーザーもいるとか。運転の楽しさを追究するクルマ好きは数多くいて、しかも楽しさはクルマに加えて「良い道あってこそ」であることを知っているのだ。

 ユニークなのは、このアプリ開発を外部ではなく、スバルの実車開発エンジニア自身がやってることで、特に今回の赤城のニュルはスポーツグレードのSTIエンジニアが、普段群馬で実車テストにも使っている道を選んだとか。

 よって貴船神社前ワインディングのクネクネっぷりはもちろん、アスファルト路面の荒れ方はリアルなニュルブルクリンク(ドイツの超過酷なサーキット)で、クルマ通的にも楽しい。

トヨタ、ホンダ、日産、スズキなど他ユーザーも使える

 もちろんアプリとしてまだまだな部分もあり、リリースから5年で28コースしか選べてないし、群馬や関東中心で、四国はまだ1つもコースがない。雄大な北海道にしろ2コースのみで、探せばまだまだあるはず。

 ただし、それまたスバルエンジニアが直々に探している証拠でもあり、選び抜かれた道のうまさは本物だ。

 本来ならば選りすぐりの道を数100レベルで洗い出し、時間があったら常に通常の道とは違う楽しい道を選べる、新感覚“ナビ”アプリとして使いたいくらいだが、そこはこれから。

 さらに文面では「スバルオーナーのための」と謳いつつ、トヨタ、ホンダ、日産、スズキなど他ユーザーも使えるし、かつてないクルマ好き向けアプリとして進化して欲しいもの。ウチの近所じゃまだルートがないかも? という方もいるかもしれませんが、スバロード、ぜひ一度試していただきたいものです。

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