市販薬の購入に身分証提示が必須? ドラッグストアでの本人確認が厳格化される理由
2026年5月1日から、風邪薬や咳止めなど、一部の市販薬の販売規制が強化された。近年、市販薬を乱用の目的で大量に購入するケースが増加しており、市販薬の適正販売の観点から「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、薬機法)」が改正されたためだ。改正の具体的な内容を整理しながら、ドラッグストアなどで市販薬を購入する際の留意点を、病院薬剤師の青島周一氏に解説してもらった。
医薬品を一度に大量服用するような乱用を「オーバードーズ」と呼びます。オーバードーズの背景には、いじめや虐待、親との関係性の悪化、学校での孤立など、精神的な苦痛や環境的な要因があげられます。生きづらさに対して、一時的な安楽や安心感を得るために、市販薬を大量に服用してしまうのです。
厚生労働省は、咳止めなどに配合されているエフェドリンやコデイン、ジヒドロコデイン、メチルエフェドリン、風邪薬などに配合されているプソイドエフェドリン、頭痛薬などに配合されているブロモバレリル尿素を乱用等のおそれのある医薬品に指定し、高校生や中学生が購入する際には氏名や年齢、使用状況を確認するよう義務付けてきました。
しかし、販売時の確認は主に口頭で行われていて、虚偽の申告を完全に見抜くことが難しく、複数の店舗を回って大量に購入する、いわゆる買いはしごを防ぐことにも限界がありました。また、乱用等のおそれのある医薬品に関する販売規制は、法律ではなく省令(薬機法施行規則)の規定にとどまっており、市販薬を販売する側の対応も不十分でした。そこで政府は、薬機法そのものを改正し、乱用等のおそれのある医薬品として指定された6成分に、咳止め薬などに配合されているデキストロメトルファン、睡眠改善薬などに配合されているジフェンヒドラミンを加えた8成分を指定乱用防止医薬品としました。また、これらの医薬品を購入する際の氏名や年齢の確認、他店での購入状況の確認を法律上の義務としました。
■咳止め、睡眠改善薬の一部成分も対象に
本改正に伴い、風邪薬や咳止め、頭痛薬、睡眠改善薬など、身近な市販薬であっても指定乱用防止医薬品に該当する製品は、鍵のかかったカウンターの中に配置されるか、店頭には空箱だけが置かれるようになります。そのため、購入を希望する人は、必ず薬剤師や登録販売者に声をかける必要が生じ、若年者であるかどうかにかかわらず、身分証明書等の提示を求められる場合があります。
また、指定乱用防止医薬品に該当する製品には、年齢と製品の容量によって販売制限が課されます。
改正薬機法では5日分(風邪薬等、一部の医薬品は7日分)以下を小容量、5日超を大容量と定義し、18歳未満の方では大容量の製品や複数個の購入が禁止されます。18歳以上であっても、大容量の製品や複数個の購入を希望する場合には、購入の必要性を説明する必要があります。
むろん、インターネットで購入する際にも年齢確認が必須となります。18歳未満の方では、インターネット経由での注文はキャンセル扱いとなります。ただし、インターネットを利用した購入であっても、ビデオ通話などを用いて薬剤師や登録販売者と「リアルタイムの映像と音声」で直接やりとりを行うオンライン販売であれば、18歳未満の方でも小容量の製品を1個だけ購入することが可能です。


















