関係者の証言で浮かび上がらせる事件の疑惑「誓いの証言」柚月裕子著

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「誓いの証言」柚月裕子著

 ある日、ヤメ検の弁護士・佐方貞人の元に築地警察署から電話が入った。逮捕された男が佐方を弁護人に指名したという。男の名は久保利典。大学の同級生だった。

 銀座のクラブのホステス・ユウカに対する不同意性交等罪の容疑で逮捕された久保は、ユウカと寝たことは認めているものの、無実を主張。一方、ユウカは薬を飲まされ乱暴されたと訴え、さらに久保の実名を出してSNSに投稿した。

 佐方は久保の言葉を信じ、事件の経緯を調べるが、ユウカが久保を嵌める動機が見つからない。一体何があったのか--。やがて佐方は2人の接点を過去の香川に見つける。

 本書は16年ぶりのシリーズ5作目。香川の「蕃永石」の石職人だったユウカの祖父が20年前に亡くなった事件。久保やユウカを知る人々の証言。香川でのユウカの子供時代は地元石職人の視点で、現代は佐方の視点とで交互に描き、徐々に事件の疑惑を浮かび上がらせていく。

 面白いのはページが進むにつれ、クロに思われた久保の印象が変わっていく点だ。果たして法廷で佐方はどう弁論するのか。事件の関係者の誰もが加害者であり被害者という構造が深く重い。 (KADOKAWA 2090円)


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