日本各地の手仕事を記録した貴重な写真集「『民芸手帖』の時代」東京民藝協会著

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「『民芸手帖』の時代」東京民藝協会著

 民芸手帖は、日本民藝協会の下部組織である東京民藝協会の機関誌で、1958(昭和33)年から1982(同57)年までの25年間で、295冊が刊行された。

 創刊時からその編集に携わってきた編集者の白崎俊次氏は、全国各地の手仕事の現場を取材、撮影して記事に仕上げる一方で、協会主催の国内外の民藝旅行会の企画や調査、旅行の立案からツアーコンダクター役まで担当。

 本書は、同氏が残した6万点以上の記録写真から選りすぐりを編んだ写真集だ。

 冒頭の章は、「編組」と題し、東北地方を中心にしたワラ細工の作り手たちがテーマだ。

 昭和35年、秋田県の戸波で撮影されたのは「けら(蓑)」作り。集落の家々では、昼の仕事の疲れも忘れ、夜なべ仕事で「けら」や「蓑ぼっち(蓑の帽子部分)」、手の込んだ「祝いげら」などが編まれていく。

 この土地で編まれたけらは、南秋田地方の農家の人たちに広く愛用されていたという。

 女性たちが、乏しい明かりのもとで、けらを編む姿や、その手先をモノクロの写真で伝える。

 中には、鶴の柄や屋号であろうか記号が編みこまれた「祝いげら」の襟飾り作りの様子などもある。

 すべてが手作業で、用いる道具も手作りだとわかる。

 雪国の生活の知恵から生まれた雪沓は、土地土地によって作り方や材料が異なり、山形県櫛引では蒲で編まれ、男物は白、女物は赤いネルの縁取りをつける(昭和36年撮影)。

 ほかにも、山形県大井沢のぶどうの木の皮やあけびの蔓をつかった「こだす(籠)」作り(昭和49年撮影)など、生活に必要な道具や日用品を、自らの手で生み出す丁寧な手仕事をレンズは丹念に追っていく。

 こだす作りの記事によると、この時点で材料取りや編み手が高齢化でこうした手仕事が各地ですでに消滅しているが、大井沢ではまだ残っていることに心強いものを感じたとある。

 果たして、現在はどうなのだろうか。

「木漆工」の章では、今も続く津軽塗や輪島塗と並んで、東京の合羽橋の裏町で取材された木彫菓子型職人の仕事(昭和31年・41年撮影)なども取り上げられる。

 ほかにも、かつては奈良・越後・薩摩などと並び名高かった「能登上布」(石川県=昭和34・48年撮影)や、「小千谷縮」(新潟県=昭和35年撮影)の織りや糸紬だけでなく天井から吊った荒縄で男性が体を支え、流しに入れた布を足でたたきつけるように踏みつけて布地を白くする「きらあげ」と呼ばれる作業などの一部始終を撮影した「織物・染物」をはじめ、「和紙」や「陶磁」、「鋳物・鍛冶」など、さまざまな分野の手仕事を網羅。

 中には、縁日でかつて見かけた「しんこ細工」や「飴細工」の職人たちの仕事ぶりや、祭りなど「風土風物」を追うページもあり、手仕事が生活を彩っていた日本のかつての風景がよみがえる。 (グラフィック社 4180円)


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