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スージー鈴木音楽評論家

1966年、大阪府東大阪市生まれ。早大政治経済学部卒業後、博報堂に入社。在職中から音楽評論家として活動し、10冊超の著作を発表。2021年、55歳になったのを機に同社を早期退職。主な著書に「中森明菜の音楽1982-1991」「〈きゅんメロ〉の法則」「サブカルサラリーマンになろう」「大人のブルーハーツ」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。日刊ゲンダイの好評連載をまとめた最新刊「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」(日刊現代/講談社)が絶賛発売中。最新刊「日本ポップス史 1966-2023: あの音楽家の何がすごかったのか」が発売中。ラジオDJとしても活躍。

ビートルズがまさに「4人はアイドル」だった時代の最終章

公開日: 更新日:

アルバム『ヘルプ!』(1965年8月6日発売)①

 このアルバム、まず現状の正式タイトルがどうなっているのかが気になっていたのだ。

 というのは、私の少年時代、ケン・ソーンによる劇中音楽(劇伴)が収録されたアメリカ盤は『ヘルプ(四人はアイドル)』(「四」は漢字)、劇伴のないイギリスオリジナル盤は『4人はアイドル』と、邦題で区別されて呼ばれていたからだ。

 今はどっちなんだよ。

 ユニバーサルの公式サイトを見ると──「Help!」。英語かいっ!

 というわけで、本連載では「ヘルプ!」で通す。

 このアルバムのありようを示すのには『THE BEATLES』(ロッキング・オン)という本に寄せられた音楽評論家・天辰保文の言葉がいい──「アイドルとしてのビートルズ最終章」。

「アイドル」という言葉が似つかわしいのは、邦題で使われていたからだけでなく、同名のいかにもな「アイドル映画」が作られたから。

 1965年、すでに世界的人気者になっていたビートルズだった。だから前作映画『ハード・デイズ・ナイト』とは違い、カラーですよ。ロンドンだけでなくバハマやオーストリアでロケもしましたよ。

 でも、それだけお金をかけた分、逆に『ハード~』に映し出された、彼らの生々しい素顔が見えなくなっていた。私の知る限り『ヘルプ!』を『ハード~』より推すファンは、かなり少ない。

 また、アルバムとしても、次作『ラバー・ソウル』がアートの方向にズンと進んでしまうので、まさに「アイドル最終章」。

 あと何といっても『イエスタデイ』が入っているアルバムだ。これまでの「ジョンとそれ以外」という構図を超え、ポールがズンズンと存在感を固める作品でもある。

 カバーはたった2曲。次作『ラバー~』は、もうカバーなんて次元ではなくなってしまう。

 最後に。2007年に発売された映画『ヘルプ!』のDVDのリーフレットに寄せられた映画監督の巨匠=マーティン・スコセッシの言葉がとにかくよかった。暗記しているほどだ。これぞ「1965年のビートルズ」という感じがする。

──「映画のサウンドトラックであり、ぼくらの人生のサウンドトラック。ぼくらの思い出。ひとつの時代、なんでもできるという感覚の記憶は、決して消えることがないだろう」(翻訳:奥田祐士)

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【連載】スージー鈴木のゼロからぜんぶ聴くビートルズ

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