ビートルズがまさに「4人はアイドル」だった時代の最終章
アルバム『ヘルプ!』(1965年8月6日発売)①
このアルバム、まず現状の正式タイトルがどうなっているのかが気になっていたのだ。
というのは、私の少年時代、ケン・ソーンによる劇中音楽(劇伴)が収録されたアメリカ盤は『ヘルプ(四人はアイドル)』(「四」は漢字)、劇伴のないイギリスオリジナル盤は『4人はアイドル』と、邦題で区別されて呼ばれていたからだ。
今はどっちなんだよ。
ユニバーサルの公式サイトを見ると──「Help!」。英語かいっ!
というわけで、本連載では「ヘルプ!」で通す。
このアルバムのありようを示すのには『THE BEATLES』(ロッキング・オン)という本に寄せられた音楽評論家・天辰保文の言葉がいい──「アイドルとしてのビートルズ最終章」。
「アイドル」という言葉が似つかわしいのは、邦題で使われていたからだけでなく、同名のいかにもな「アイドル映画」が作られたから。
1965年、すでに世界的人気者になっていたビートルズだった。だから前作映画『ハード・デイズ・ナイト』とは違い、カラーですよ。ロンドンだけでなくバハマやオーストリアでロケもしましたよ。
でも、それだけお金をかけた分、逆に『ハード~』に映し出された、彼らの生々しい素顔が見えなくなっていた。私の知る限り『ヘルプ!』を『ハード~』より推すファンは、かなり少ない。
また、アルバムとしても、次作『ラバー・ソウル』がアートの方向にズンと進んでしまうので、まさに「アイドル最終章」。
あと何といっても『イエスタデイ』が入っているアルバムだ。これまでの「ジョンとそれ以外」という構図を超え、ポールがズンズンと存在感を固める作品でもある。
カバーはたった2曲。次作『ラバー~』は、もうカバーなんて次元ではなくなってしまう。
最後に。2007年に発売された映画『ヘルプ!』のDVDのリーフレットに寄せられた映画監督の巨匠=マーティン・スコセッシの言葉がとにかくよかった。暗記しているほどだ。これぞ「1965年のビートルズ」という感じがする。
──「映画のサウンドトラックであり、ぼくらの人生のサウンドトラック。ぼくらの思い出。ひとつの時代、なんでもできるという感覚の記憶は、決して消えることがないだろう」(翻訳:奥田祐士)
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