座裏も人気やで<大阪>
我が故郷、大阪は、もともと「大坂」という表記だった。今の「大阪」が併用され始めたのは江戸時代だそうな。就職で離れて20年近く、それほど頻繁には帰阪していなかったが、ここ数年、折を見て足を運んでいる。
きっかけは数年前、出張時に飛行機で読んだ機内誌の記事だった。難波の千日前周辺にイカす飲み屋街が形成され、「裏なんば」と呼ばれ人気だという。「そりゃ行かなあかんで」と、その年の帰省時に出かけると、昼すぎから珠玉の酒と料理を出す店がオープンし、老若男女で賑わっている。こりゃええわ、と通っていたら、昨年末、隣の酔客から「座裏も人気やで」と聞いた。
旧歌舞伎座の裏が、座裏。大阪人以外の血が一滴も混じっていない、生粋の大阪人の私だが、昨今、大阪弁を話すたびに「東京の人やろ?」と言われるほど“大阪人”から遠ざかっている。だから、旧歌舞伎座といってもすぐに場所を思い出せず、道に迷い、座裏にたどり着いた。