五木寛之 流されゆく日々

1932年福岡県生まれ。早稲田大学文学部ロシア文学科中退。66年「さらばモスクワ愚連隊」で小説現代新人賞、67年「蒼ざめた馬を見よ」で第56回直木賞。76年「青春の門 筑豊篇」ほかで吉川英治文学賞を受賞。2002年には菊池寛賞、09年NHK放送文化賞、10年毎日出版文化賞特別賞を受賞。本紙連載「流されゆく日々」は16年9月5日に連載10000回を迎え、ギネス記録を更新中。小説以外にも幅広い批評活動を続ける。代表作に「風に吹かれて」「戒厳令の夜」「風の王国」「大河の一滴」「TARIKI」「親鸞」(三部作)など。最新作に「新 青春の門 第九部 漂流篇」などがある。

【特別再録】 記憶の中のカヤカベ教 <シャドー文化、83年>

公開日: 更新日:

■1983年5月3~12日付

 戦後、朝鮮から引揚げてきて、両親の実家にしばらくいたことがあるのですが、そのとき何度か、〈カヤカベ教〉という言葉を耳にしたことがあった。
 両親の実家は熊本県と福岡県の県境にあり、あの地域は農村というにはあまりに貧しく、焼き畑農業に近い方法で山の斜面を耕やしたり、ハゼの実、タ… 

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【連載】五木寛之 流されゆく日々

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