コンテナ船と衝突で死者 「イージス艦」には意外な盲点が
イージス艦は、半径数百キロをカバーする高性能のレーダーを搭載しているという。それによって味方を攻撃してくるミサイルや戦闘機を同時に迎撃することも可能。防衛能力は世界最高水準だ。さすがギリシャ神話の「盾」を名前にしているだけのことはある。射程範囲に侵入した敵は、たとえアリ一匹でも許さない、といった感じである。
そんなコワモテのイージス艦が、すぐそばを航行中のコンテナ船と衝突した……あれ? 高性能レーダーはどうなってるの? まさかハリボテ?
「イージス艦が優れているのは対空レーダーの性能です。空から侵入・攻撃してくる複数の相手を同時に叩くことができる。防空能力はナンバーワンです。ただし、海に浮かんでいる船舶に対する水上レーダーは、民間のコンテナ船に搭載されているものと大差ありません。周囲の確認は最終的にアナログ頼みで、ウオッチと呼ばれる見張り役が望遠鏡で行っています。夜になると、7~8人の当直士官が近くを航行する船舶を警戒することになるのです。今回の事故は原因がまだハッキリしませんが、衝突回避の能力が高いわけではありません」(軍事ジャーナリストの世良光弘氏)