1985年に来日 野村総研での1年間の研修が契機となり再来日
中国人留学生専門「大学予備校」で成功した女性<2>
都内ナンバーワンの進学率を誇る中国人留学生専門の予備校「フジ国際語学院」は、今年創立して30年目を迎える。
1989年6月2日、日本語学校として設立。これまでの道のりを振り返ってみると、外国人留学生における日本語教育の歴史の縮図であった。それを語るには創始者のひとりであり、理事長のZ氏抜きでは始まらない。
Z氏は、遼寧省瀋陽市生まれ。瀋陽市は中国東北地方にある重工業地帯の大都市で、国営企業が集中していた。“高考”(大学受験)が復活してから間もなく、才媛の誉れ高かったZ氏は北京の名門である対外経済貿易大学に入学。卒業後、政府機関の経済貿易部に配属され、同時通訳をこなしていた。
1985年に国費で初来日。日本経済を勉強するためであった。というのも当時、中国は改革開放にかじを切ったばかり。経済をそのまま“卡車”(計画経済を意味するトラック)で続けるか、それとも“轎車”(市場経済を意味する乗用車)に切り替えるかを模索する時期だった。Z氏は政府から東京の野村総合研究所に派遣され、研修生活を送ったのである。その1年間をこう述懐する。