<44>ピンチの相手には同情するよりも「私もよ」とフォロー
大勢の方を前にして、とっても恥ずかしく感じる事態に直面し、「もうこの場から消えてしまいたい!」という心境になったことはありませんか? 私にはあります。でも、見事な“救いの一言”をかけていただいたことで、ピンチを切り抜けられることができました。私にとっては忘れられない経験です。
それは6年前、私のために大手企業の社長や重役など、とても偉い方々が集まってくださった食事会でのことでした。豪華なフランス料理店で、めったにお会いできない企業トップから直接激励の言葉をいただきながらの食事です。最初から緊張でガチガチだった私は、途中からだんだんとお腹が痛くなってしまい、デザートが出るタイミングでとうとう席を立ってしまいました。
トイレの個室の中で「落ち着け、落ち着け」と気持ちを整えようと焦るほどに、さらにお腹は痛くなっていきます。鏡を見ると顔まで真っ赤。「テーブルでは今頃、デザートのアイスクリームに火をともすデモンストレーションで盛り上がっているはず。本当は主役の私もそこにいるべきなのに……」と思うと、心臓から汗が噴き出そうになりました。ようやく落ち着いて席に戻ることができる状態になっても、「心配されているだろうな」「どういう顔で戻ったらいいのかな」と、また緊張の波が押し寄せて来ます。すると、席に着いたその瞬間、「私もあったのよ~」との声が。すかさず話を切り出してくれたのは、ある女性重役でした。