ARで小型立体地図を開発した研究者「家庭で科学の学びを」
コロナ禍の影響で、博物館の見学が難しくなっている。そんな中、「子どもたちの学びを止めない」と、研究者によるベンチャー企業が立ち上がった。博物館にあるプロジェクションマッピングを活用する大型立体地図に勝るとも劣らない家庭用立体地図を開発したのだ。A3サイズより一回り大きい程度の小さな地図が、いったいどんな手を使うと、大型地図を超えられるのだろうか。
家庭用立体地図を開発するのは、茨城・つくば市の産業技術総合研究所から生まれたベンチャー・地球技研。所長の芝原暁彦氏は、恐竜にも詳しい古生物学者だ。
地球技研はこれまで、主に博物館などに向けた大きな立体地図を製作してきた。例えば、つくば市の地質標本館にある立体日本地図は、長さ9メートル、幅7メートル。陸地だけでなく、日本列島周辺の海底地形まで正確に再現されている。
この立体地図自体は真っ白だが、そこにプロジェクションマッピングを使ってさまざまな情報を映し出す。一般的な地図情報のほか、地質の分布、都市の位置、鉄道や道路網などを、切り替えたり重ね合わせたりして、地図上に表示する。
「都市はどんな地質の場所に広がっているのか、どの山がどんな地質で成り立っているのかなど、ビジュアルで理解できます」と、芝原氏。
これまではこうした博物館を見学することで、子どもたちは科学の学びを深められた。だがコロナ禍の影響で、それが難しくなってしまった。