和歌山県「たなべ未来創造塾」地域を超えて広がる起業支援
若者の起業支援をする和歌山県田辺市の「たなべ未来創造塾」が評判だ。塾は市・大学・金融機関・地域事業者との連携で2016年から始まり、21年までの5期で58人が参加。4期までの47人の修了生のうち70%以上である33人から新たなビジネスが生まれている。
塾は移住や定住にもつながっている。和歌山県自体が力を入れているためだ。都市から移住を検討する人に往路交通費の支援に最大2万円、新事業の支援に最大200万円、移住者の起業支援に最大100万円、地域の事業を引き継ぎ新たな視点での事業支援には最大100万円など多くの支援体制があるのだ。20年、田辺市の移住相談窓口を通じた移住者は74人もあった。
実は筆者は塾の存在を長男の知弘から知った。田辺市龍神村へ東京都目黒区から息子とその妻、娘の3人で移住したのだ。
「私が田辺市を知ったのは東京・有楽町にある『ふるさと回帰支援センター』のセミナーです。自然が多く、土地と物価が安くて食材が豊富。入居した家は3LDKで家賃2万5000円。イタリアへの料理留学の技術を生かしたジャム工房をやっていますが、日本政策金融公庫の融資を受けて一軒家を購入し、ゲストハウスも始めました。塾は市から推薦されて1期生で入塾。仲間と広い人間関係が一気にできて仕事にもつながりました」(知弘)