停電、略奪、トイレ不可…首都直下地震の後に「身の回りで起きる」これだけのこと

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羽田空港の再開は1カ月以上も後

 次に「救出や救助」。至るところで道路が寸断されるため、救出や消火活動は困難を極める。発生から1日後までは多数の避難者や帰宅困難者が公園やグラウンドなどに滞留するため、ヘリコプターの離着陸ができない可能性がある。羽田空港は緊急輸送ネットワーク拠点として運用され、一般利用客の輸送が再開されるのは1カ月以上経ってからだ。

「避難所での生活」はどうか。発生3日後から避難所への避難者が増加する。家庭内備蓄が枯渇してしまうからだ。そのためゴミやし尿処理の遅れで避難所の衛生状態が急速に悪化。過密やプライバシーの問題で避難所を出て屋外で避難生活を送る人たちが増えてくる。

「被害想定では、物資不足が長期化した場合、略奪や窃盗など治安が悪化するとしています。屋外でのテント生活は危険との隣り合わせです。また、避難所の仮設トイレは発生初日で満タン状態。バキュームカーの不足で早期の再開は困難です。特に夏季に地震が発生した場合は、感染症の発生につながる可能性もあります」(ジャーナリスト・中森勇人氏)

 これは国による想定だが、首都直下地震後に約240万人の疎開者(他県などに避難)が出るとしている。地方の実家やホテル住まいができる人は幸いだ。

■計画停電でタワマン住人の困窮

 では、「自宅などでの避難生活」はどうか。前述の通り、マンションなどは水道が供給されても、排水管修理が終わるまではトイレの利用ができない。備蓄しておいた携帯トイレがなくなれば、住み慣れた自宅での避難生活は困難。さらに計画停電が実施された場合、特にタワーマンションの住人は外出もおぼつかなくなる。

「東京都は帰宅困難者の発生を抑制するため、3日間は職場や一時滞在施設にとどまることを呼びかけます。ようやく4日目以降から順次帰宅することを想定していますが、例えば保育士さんはその間は園児を残して帰宅することもできません」(中森氏)

 その後は「事前復興」の計画通り、東京全体が大胆に区画整理される。道路拡張のため、土地の権利者が少しずつ土地を出し合う「減歩」も行われる。一方通行のような狭い道路が減り、逆に自転車専用道路は大幅に増えることになる。

 被災市街地復興特別措置法で最長2年の建築制限もある。元の生活に戻るまでには3~5年は見ておいた方がいい。

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