元ブックオフ社長の橋本真由美さんは公益財団法人の理事長に「今でもブックオフには足を運ぶ」

公開日: 更新日:

橋本真由美さん(元ブックオフ社長/74歳)

 政府が女性活躍を進めようとあれこれ策を練っているが、現状は他の先進国に遠く及ばない。ところが、そんななかでも17年前、東証1部(現プライム)上場企業の社長に就き、脚光を浴びた女性がいた。ブックオフコーポレーションの元社長・橋本真由美さんだ。パート出身という経歴も驚きだった。橋本さん、今、どうしているのか。

 ◇  ◇  ◇

 橋本さんに会ったのは、東京メトロ・銀座駅から徒歩5分の喫茶店。「公益財団法人相模原市まち・みどり公社理事長」の名刺を差し出しながら、まずはこう言った。

「この6月に就任しました。ブックオフの社長、会長、相談役を経て5年前にその相談役を辞任し、『さて、自分の好きなことに専念しよう!』と、趣味の津軽三味線やパッチワークを始めたところでお話をいただき、ビックリでした。最初は役所の組織はよくわからないから自信がなく、迷ったんです。ただ、この年になって、こんなチャンスをいただくなんて、なかなかないこと。ありがたいと考え直し、お引き受けしました」

 勤務は週2日、朝9時から夕方4時まで。公社へ出向き、これまでの経験を生かしたさまざまな提言を行っている。

「相模原市まち・みどり公社は、市内の公園や体育館、会館など約40施設の管理をしています。相模原市の出資が97.8%の外郭団体なので、民間から新しい風を送ってほしい、ということだそうです。相模原市には長年住んでいますから、職員の方の不満や悩みを軽減し、責任は理事長の私らがとるので、“正しい働き方”で自由に思いっきりやっていただきたい、と就任の挨拶をしました。8月に実際に動き始めたばかりですが、もう夢中になってきました(笑)。やり甲斐を感じられて楽しいです」

■腰椎の脊柱管狭窄症の手術を経験

 早速、“モーレツ仕事人”の真価を発揮しているようだ。6月就任で8月から動き始めたのは、6月末に腰椎の脊柱管狭窄症の手術をしたから。

「ゴールデンウイークの頃から歩けないくらいの腰痛と脚のしびれが出て、シルバーカーを押して歩くほどだったんです。まだ、長い距離を歩いたり、階段をのぼったりは不便ですが、体はほかにどこも悪くないですね」

 入院時にはブックオフで一緒に働いていた支店長や役員らが次から次へと、見舞いに来た。辞任後も慕われているのだ。

「今も、ブックオフへつい足が向いて、棚やカウンターをチェックしてしまいます(笑)。辞任したのは、福井の実家の父の遠距離介護をしていて、もっと一緒に過ごしたいと思ったから。私、お父さん子だったんですよ(笑)。ところが、仕事を辞めて1カ月後に亡くなってしまい、実家へ片付けなどで帰るたびに涙が流れて……。主人は社長時代に死別しているので、そんな私を見かねた弟(タレントの清水国明)が『再婚しろ。誰か紹介しようか』ですって。もう、その発想が信じられない! 再婚は120%ありません」

 夫との間にもうけた娘2人は結婚し、孫が5人。次女が橋本さんの近所に居を構え、1人暮らしの橋本さんを支えている。

「娘たちも仕事をもっているのに、『高いものはばあばに買ってもらいなさい』なんて言うんですよ(笑)。孫はかわいいので、つい財布の紐が緩くなってしまいます。でも去年、私がピアスの穴をあけたら、孫が修学旅行のお土産にピアスを買ってきてくれました」

 1人暮らしの寂しさは吹き飛ぶだろう。

「1人は寂しいといえば寂しいですが、楽ですよ。やりたいことを自由に楽しめます。高齢になると、『もう年だから』と年賀状を減らしたり、やりたいことをやめる人もいますが、私は反対です。今、74歳で100歳まで生きるとしたら、まだ25年以上ある。毎日、ラジオ体操しかしないのでしょうか。やりたいことには、何歳からでもどんどん挑戦するべきだと思います」

 この意気なら、100歳まで長生きできそうだ。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(22)撮影した女性500人のうち450人と関係を持ったのは本当ですか?「それは…」

  3. 3

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  4. 4

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  5. 5

    “やらかし俳優”吉沢亮にはやはりプロの底力あり 映画「国宝」の演技一発で挽回

  1. 6

    参院選で公明党候補“全員落選”危機の衝撃!「公明新聞」異例すぎる選挙分析の読み解き方

  2. 7

    「愛子天皇待望論」を引き出す内親王のカリスマ性…皇室史に詳しい宗教学者・島田裕巳氏が分析

  3. 8

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  4. 9

    松岡&城島の謝罪で乗り切り? 国分太一コンプラ違反「説明責任」放棄と「核心に触れない」メディアを識者バッサリ

  5. 10

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒