著者のコラム一覧
室井佑月作家

1970年、青森県生まれ。銀座ホステス、モデル、レースクイーンなどを経て97年に作家デビュー。TBS系「ひるおび!」木曜レギュラーほか各局の情報番組に出演中。著書に「ママの神様」(講談社)、「ラブ ファイアー」(集英社文庫)など。

居場所を変えてみることも、選択肢の一つに入れてみてほしいのよ。

公開日: 更新日:

 その行為は、きっとそう長くはつづけられない。何十年もできる人なんて稀だろう。

 あたしは54歳になる。生まれは地方であるが、いちばん長く暮らした場所は新宿だ。

 あたしは道路脇の茂みに突き刺さった折れ傘を見て、それは自分じゃないかと思うような女だった。新宿は毎日、知り合いの誰かがそこで遊んでいるのが良かった。

 でもね、子を産んで育て、繁華街に出かける余裕もなくなった。というか、独りぼっちで寂しいときにどうしても会いたい人なんてのもいなかったし、死ぬほど大変だった育児中は今となってみれば独りじゃないと錯覚できた貴重な時間であった。折れ傘が辛かったのは、新宿の茂みに突き刺さっていたからなのかも。

 新宿に立っている方よ、居場所を変えてみることも、選択肢の一つに入れてみてほしいのよ。給金の良い仕事は少ないが、あなたを支えてくれそうな家付きの単身者なら沢山いる地方へ。

 時代は女のキャリアとかいっているが、そんなのは無視してよい。この先の長い人生、あなたが幸せであれば。新宿は、心の中にしまっておいて。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    竹内結子さん、石原さとみに立ちはだかった女優35歳限界説

  2. 2

    「俺は帰る!」長嶋一茂“王様気取り”にテレビ業界から呆れ声…“親の七光だけで中身ナシ”の末路

  3. 3

    巨人・岡本和真がビビる「やっぱりあと1年待ってくれ」…最終盤に調子を上げてきたワケ

  4. 4

    沢口靖子はまさに“奇跡のアラ環”!「2025年で『60歳』のお美しい女性有名人」圧倒的1位の原点

  5. 5

    視聴率トップ「モーニングショー」山口真由氏に続き…女性コメンテーター2人も"同時卒業"の背景と今後

  1. 6

    米倉涼子の"体調問題"が各界に波紋…空白の1カ月間に一体何が? ドラマ降板情報も

  2. 7

    山口真由氏「妊娠・休養」報道で人気を証明 復帰後に約束された「最強コメンテーター」の道

  3. 8

    杉田かおるが財閥創業者の孫との離婚で語ったこと

  4. 9

    林芳正氏が自民党総裁選“台風の目に”…「2強」失速でまさかの決戦投票進出あるか

  5. 10

    叱責、鉄拳、罰金…試練の日々で星野監督よりも「怖かった人」