著者のコラム一覧
姫田小夏ジャーナリスト

中国・アジアを身近に捉える取材に取り組む。中国ウオッチは25年超、中国滞在経験も長い。アジア・ビズ・フォーラム主宰。日刊ゲンダイでの連載などをもとに「ポストコロナと中国の世界観 」(集広舎)。

中国の老人に超人的な体力が宿る本当の理由…筋骨隆々の体を自慢し合い健康増進

公開日: 更新日:

 中国にも医療保険制度はあるにはあるが、難病になるほど自己負担が増える。また完全看護ではないから、家族の負担も重い。うっかり入院ともなれば、高額な薬や治療器具を買わされ、手術時には医師に分厚い袖の下を渡し……と、コツコツと貯めてきたお金は瞬時に蒸発する。

 李さんは入院生活についてこうも話す。

「今の中国の医療保険制度では長期入院もできません。夫は数週間で退院させられ、再入院するには非常に複雑な手続きを要しました。長期入院でき、無料の治療を受けられる上級幹部の扱いとはまるで違います」

 上級幹部とは省レベル以上の役人や退役軍人などを指す。すべての人に平等に提供されるはずの医療だが、中国には特殊な階級の人々のための特別な待遇があるようだ。中国で公務員をしていた朱さん(仮名、40代)も言う。

「中国の医療費が高いのは、政府要人の医療費が無料だから。彼らは“紅い医療保険証”というのを持っていて、これを見せれば医療費はタダになる。1回の入院で300万元(約6000万円)の治療を行った老幹部もいるが、一銭たりとも払わないで済む。こうした特権階級の医療費を負担しているのが庶民なんですよ」

 中国の医療制度の決定的な欠陥はこれだ。中国の高齢者には自己防衛の道しかない。 (つづく)

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  2. 2

    NHK「昭和16年夏の敗戦」は見ごたえあり 今年は戦争特別番組が盛りだくさん

  3. 3

    永野芽郁が“濡れ場あり”韓流ドラマで「セクシー派女優転身、世界デビュー」の仰天情報

  4. 4

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  5. 5

    海星・陣内優翔は長崎県初の“完全男”だが…スカウトが「上位獲得」を渋るワケ

  1. 6

    中居正広氏は法廷バトルか、泣き寝入りか…「どちらも地獄」の“袋小路生活”と今後

  2. 7

    綾瀬はるか3年ぶり主演ドラマ「ひとりでしにたい」“不発”で迎えた曲がり角…女優として今後どうする?

  3. 8

    中山美穂「香典トラブル」で図らずも露呈した「妹・忍」をめぐる“芸能界のドンの圧力”

  4. 9

    長崎を熱狂させた海星・酒井圭一さんが当時を語る…プロ引退後はスカウトとして大谷翔平を担当

  5. 10

    安藤サクラ「柄本佑が初めて交際した人」に驚きの声…“遊び人の父”奥田瑛二を持つ娘の苦悩