憂鬱以上、うつ未満…“半うつ”で心が壊れかけている人に火をつける「自分」との向き合い方
毎朝目覚めた時、体は動くのに心だけが重い。仕事はできるが楽しさを感じられない。病院に行くほどではないが、このモヤモヤした状態が続いている--。
精神科医の平光源さんは、このような状態を「半うつ」と定義し、現代人の多くが抱える問題だと指摘する。完全なうつ病ではないものの、確実に心のバランスが崩れている状態だ。
平さんによると、私たちの心には「エンジン」のような仕組みがあり、それを動かしているのがドーパミンという神経伝達物質だという。このエンジンが不調になることで、やる気や楽しさを感じられなくなる。このドーパミンは「期待していたこと」と「実際に起こったこと」のギャップに反応して、ワクワク感を生み出す。これを「報酬予測エラー理論」と呼ぶ。
では、止まりかけた心のエンジンを再び動かすにはどうすればよいのか。そのカギは「自分の本当の願い」を見つけることにある。平さんの著書『半うつ 憂鬱以上、うつ未満』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
◼️お葬式ワークで心に火をつける
実は、止まりかけた心のエンジンを動かすのに、特別な燃料や高価なオイルは重要ではありません。必要なのは、あなたの中にすでに眠っている「本当の願い」に気づくことです。
私たちの心のエンジンは、「期待していたこと」と「実際に起こったこと」のギャップでワクワクが生まれます。これが「報酬予測エラー理論」です。
ところが、ここに大きな落とし穴があります。多くの場合、「自分が期待していること」ではなく、「他人が期待していること」ばかりを追いかけてしまうからです。
例えば、こんな経験はありませんか? 自分は「困っている人がいたら、さりげなく手伝ってあげたい」と期待しているのに、上司や同僚から期待される「誰よりも成果を上げる競争力のある人」になろうと頑張っている。自分は「家族とゆっくり過ごす穏やかな時間が一番幸せ」と期待しているのに、周りから期待される「いつもアクティブで充実した生活を送る人」であろうとして疲れ果てている。自分は「1人で静かに本を読んだり、散歩したりする時間が好き」で、いつもそうありたいと期待しているのに、社会から期待される「社交的で人脈の広いコミュニケーション上手な人」になろうと無理をしている。
このような「他人が期待していること」をいくら達成しても、心からのワクワクは生まれません。なぜなら、それはあなたの心が本当に求めているものではないからです。むしろ、自分の本当の気持ちを押し殺して他人の期待に応えようとすればするほど、心のエンジンは「これは違う」と感じて、どんどん回転数を落としていってしまうのです。