キューサイ<下>青汁からの脱却、医薬品事業の拡大に活路
「まずい! もう一杯!」
悪役俳優の異名をとる八名信夫がグラスの鮮やかな緑色の液体を一気に飲み干す。顔をしかめて、しゃがれ声で、こう言うキューサイの青汁のテレビコマーシャルが強烈な印象を与えた。
福岡に本社を置くキューサイは、このCMで一気に全国区となり、通販による健康食品市場を切り開いた。1990年のことだ。
創業者は長谷川常雄。京都市出身。同志社大学経済学部卒。大沢商会に入社し福岡支店に勤務していた時に独立。65年、菓子製造販売の長老製菓(のちの長谷川製菓)を創業。ニチレイの協力工場となり冷凍食品の製造を始めた。
82年、ケールを原料とする冷凍タイプの青汁の製造・販売を開始。95年、キューサイに商号を変更。ケール生産の九州自然野菜組合の略称をカタカナの社名とした。97年、株式を店頭公開。99年9月、東証2部と福岡証券取引所に上場した。