ENEOS HD(上)突然失脚した最高権力者・杉森務前会長の実力
石油元売り最大手・ENEOSホールディングスの代表取締役会長だった杉森務が、8月12日に突如、辞任を表明した。当初、退任の真相はベールに包まれ、「一身上の都合」としか明らかにされなかった。
なぜ、辞めざるを得なくなったのかは、「週刊新潮」(2022年9月29日号)で暴露された。
杉森は7月、那覇市の高級クラブで30代ホステス女性のドレスの中に手を入れて胸を触り、キスを強要し、拒む女性に「銀座では普通だよ」などとしつこく言い寄ったうえに、ドレスを強引に脱がせるなどした。女性は肋骨骨折など全治2週間のケガを負った、とされた。
杉森務とはどんな人物なのか。
1955年10月21日、石川県七尾市生まれで67歳。父親が石川県警の警察官だった関係で金沢市など県内各地を転々とした。県立金沢泉丘高校から一橋大学商学部に進み、大学時代は準硬式野球部に所属した。79年、ENEOSの前身の日本石油に入社した。
ゴールデン黒バットという言葉が日石にはある。勤労部、人事畑がゴールデン、重油などの産業燃料部(扱う製品からの連想で)黒、野球部(バット)出身者がエリートとされた。杉森の振り出しは勤労部、人事課だった。