自動車用電球メーカー「大井川電機製作所」始めたキノコ事業が年商1億円に育つまでの紆余曲折

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目標は年商2億円、追い風も吹いている

 さて、満を持して開発に乗り出したものの、最初は色も形も悪く、独特の臭いもあって失敗の連続。栽培の肝である「滅菌」がよくなかったようだが、その高い壁が「技術者魂」に火をつけた。トヨタやホンダなどを頂点とする自動車業界は、厳しい品質管理で知られる。「ただ一つの不良品も許されない」という中で磨かれてきた品質管理基準の高さが、キノコ生産に応用され、成功に結びついたのだ。

 室内の温度や湿度、二酸化炭素などをデジタルで徹底的に管理し、そのデータを蓄積して、改善する。電球事業で培われた生産管理技術が役立ち、高品質な栽培が実現したという。

 しかし、デジタル管理だけではない。佐々木孝行社長が言う。

「電球の製造は元々、ガラスのロットや火の燃焼具合を見ながら、職人の目と感覚で機械を調整してきました。ハナビラタケの生産も、工夫を積み重ねた結果です。キノコは生き物ですから、デジタルな数字通りに進めるだけでなく、3年から5年の現場経験を積むことで数字を微調整する意識や感覚の養成が必要になるんです」

 キノコ栽培は、5人のベテラン技術者が担当。試行錯誤を重ねて18年に生産体制が確立すると、20年に量産体制が整い、25年末に十分な品質を保った安定供給が実現した。18年に100万円だった月商は今や1000万円、年商1億円に拡大している。

 キノコ事業の次の目標である年商2億円に向けて追い風も吹く。昨年、含有成分のエルゴチオネインが中高年の言語記憶力など認知機能維持に役立つとして、機能性表示食品に認められた。

 ハナビラタケは、まだまだ大きな“花”を咲かせそうだ。

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