高野孟
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高野孟ジャーナリスト

1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。

米大統領選 トランプ躍進でTPPは風前の灯

公開日:  更新日:

 ドナルド・トランプがサウスカロライナ州の共和党予備選で圧勝した一因には、彼の極端な反自由貿易、反TPPの言辞が、同州に多い白人の低所得労働者層に大受けした事実があることを、日本のメディアはほとんど伝えていない。

「老いぼれ政治家や外交官どもが通商交渉で大負けしたせいで何百万もの雇用が失われた」「私は、ビル・クリントン大統領がやった北米自由貿易協定を廃止し、いま提案されているTPPはゴミ箱に放り込むことを、皆さんに誓約する」「メキシコや日本や中国(など米国に輸出している国々)には貿易で制裁を科す。メキシコからの自動車輸入には35%の関税をかける。中国からの輸入はすべて45%の関税だ!」と、まあ、すさまじい。

 同州はもともと、繊維、化学、自動車・部品、たばこ、乳製品など伝統的な製造業が多く、不況のたびに全米でもトップ級の失業率に苦しめられてきた。しかも、50州のうち24ある「労働権の州」のひとつで、労働者に労組加盟の義務がないので、企業は人材派遣会社を通じて低賃金の非正規労働者を雇用し、景気が悪くなればすぐにクビを切ることができる。そうした経営に有利な条件を狙って工場進出する内外企業は多いけれども、プア・ホワイトは一向に幸せにはならない。そこへ「輸入が雇用を奪う」という単純なスローガンで切り込んでいったのが、トランプの巧み(だが愚か)な戦術である。

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