元関脇・貴闘力 「依存症の気持ちなど政府は分からない」

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 成立が時間の問題となっている統合型リゾート(IR)実施法案、通称「カジノ法案」。安倍首相はカジノ建設で「総合的リゾート施設として、世界中から観光客を集める」と、経済効果に期待している。しかし、その一方で「ギャンブル中毒者を増やすのか!」と反発も多い。かつて賭博が原因で相撲協会を去らざるを得なくなった元親方は、カジノ法案をどう見ているのか。

■自殺した人を何人か見ている

  ――これまでギャンブルで総額5億円は負けたとか。

 そうですね。その通り。まあ、相当負けましたよ。

  ――現在もギャンブルはやっている?

 遊び程度ですけどね。カジノにハマって自殺した人を、若いときから何人か見ているんです。みんな、そこまで(自殺者がいると)知らないでしょ? 負け続けて借金がかさむと自分が嫌になって、鬱になって、悲しくなって……。居ても立ってもいられなくなって死んだ人はいっぱいいる。

  ――それでも、やめられない人はやめられない。

 相撲だって同じですよ。負けても次は勝てると思う。あなたはギャンブルやりますか? 麻雀くらい?なら、負けが続いたとして、今後もずっと負けると思いながら麻雀をしますか? やりませんよね。そういうことなんですよ。100人いたら、9割は遊びの範囲内でストップできる。でも、残りはそうじゃない。実際にギャンブルをしない人でも、性格的にそれくらいの割合に分かれるんです。人間には欲望がありますからね。ギャンブルにハマるかハマらないか、それは人それぞれの性格です。

  ――といいますと。

 癖とか好みと同じと思えばいい。例えば、ある人に「なんで若い子が好きなんだ?」と聞いても、「好みだから」としか言えないでしょう(笑い)。ギャンブル中毒になる人も、それと同じ。お金を稼ぐうんぬんより、ギャンブルすることそのものが目的になる。

  ――恐ろしいですね。

 今は笑っていろいろと話しているけど、笑って話さないと、こんな深刻な話はできないんですよ。依存症の人は年間の給料すべてをギャンブルにつぎ込むくらいはする。僕もそれで相撲協会をクビになっています。ギャンブルの怖さなどをこうやって人に伝える義務があります。なんの義務やって話ですけど(笑い)。

  ――カジノ法案が成立すると、そうしたギャンブル依存症の人も増えかねない。

 もともと日本にはパチンコ店が1万軒近くあるし、人口に対する依存症の割合も世界有数です(2017年に厚労省が発表したデータによれば、依存症の疑いがある、もしくは過去にあった人は3.6%。約320万人)。確かにパチンコからカジノに移行する人は多いでしょう。カジノ法案では日本全国でカジノが営業できる区域は3カ所となっていますが、いざ法案が成立したら10や20と増えていくんじゃないかな。誘致したい自治体は多いでしょうね。そうなると、大きな問題が出てくる。

  ――どんな問題ですか?

 世界中のカジノは基本、24時間営業です。競馬はレースが決まっているし、パチンコ店も営業時間が決まっている。カジノにはそれがない。延々とギャンブルができるわけです。

  ――客がカジノで儲けるのは難しい?

 パチンコもそうですけど、店を開くのに土地を借りて、従業員を雇い、電気代も払う。諸経費もバカにならない。これでお客さんを勝たせたら、店が潰れてしまう。そのカラクリがわかっていてもやめられないのがギャンブルです。それでも「いや、自分だけは違う」と言う人もいますが、結局、同じなんです。絶対に勝つ方法があれば別ですが、ギャンブルからは何も生まれません。

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