「フェイク政権にはファクトで」辻元清美氏語る野党の戦略
いよいよ断末魔の安倍政権だが、5年という長期にわたったことで、この国の政治の劣化は著しい。行政府も立法府も主権者である国民をないがしろにしているのではないか。与野党攻防の最前線にいる野党第1党の立憲民主党で国対委員長を務める辻元清美氏にあらためて聞いた。
■意見の違う人を説得し合意点を見つけるのが政治
――今の政治状況について率直な感想は?
……。もう、言葉に詰まるほど。初当選から22年ですが、こんな酷い状況は見たことがない。フェイク政権が膿とツケをどんどん噴出している、という印象です。
――どこに根本的な原因があるのでしょう。
安倍政権はちょっと特殊な政権です。ひとつは保守ではない。右派というか、日本会議に通ずるような人たちの上に成り立ち、一定のイデオロギーで思考停止している気がします。同時に、全能感というか、安倍首相は全て自分が正しいというような姿勢。「こんな人たち」という発言に代表されるように、多様性を認めるのではなく、意見の違う人たちを敵だとみなす。稚拙です。
―――意見の違う人は敵。安倍政治はまさにそうですね。
安倍首相は国会で、「国民投票こそが最も国民の声を聞くこと」だと言いましたが、それは間違っている。なんて単純な、奥行きのない感覚なのでしょう。国民投票は、特に憲法について言えば、7、8割の人が変えたいと希望して初めて、主権在民で主権者の声を入れるために行うものです。
ところが今は、憲法を守りたい人と変えたい人との間で、ヘイトが起きたり、ネット上にデマが飛んだりしている状況。そうした国論を二分している問題を国民投票にかけると、国民を戦わせ、社会の分断をあおることになる。政治が絶対にやってはいけないことです。意見の違う人に対しても、粘り強く説得して、合意点を見つける。それが政治です。
――社民党議員時代、自社さ政権で連立を組みました。当時と比べ自民党は変わりましたか?
あの時は自民党にバランス感覚がありました。野党の意見も聞いて、落としどころを探した。今は野党の意見を全く無視したりする。それに、かつての自民党には、いい意味で日本の良さを生かしていくという意識があった。「美しい国」「道徳を大事に」などと言いながら、不道徳なことを平然とやっているように見える今の政権とは違いますね。
長く続く権力は腐敗するといいます。自民党が総裁任期を2期までとしてきたのは、先人の知恵だったのではないでしょうか。それを自分が長くやりたいからと3期までに変更したのが安倍首相なのです。