何から何まで前代未聞 自民党総裁選の不気味さと異様さ<1>
「正直、公正」を争点に据えられた異常、それを撤回させた横暴、引き下がったヘタレ
「あと3年、自民党総裁、首相として日本の舵取りを担う決意だ」――。安倍首相は26日、訪問先の鹿児島県垂水市で記者のぶら下がり取材に応じ、9月の党総裁選(7日告示、20日投開票)への立候補を正式に表明した。総裁選は、石破茂元幹事長との一騎打ちとなる見込み。すでに党内では安倍陣営による石破の言論封じ込めや、支持がはっきりしない国会議員らに人事をチラつかせて支持を迫る前代未聞の選挙戦の様相を呈している。
今回の総裁選は2012年来、6年ぶりだが、早くも安倍VS石破のバトルは始まっている。石破が出馬会見で掲げた「正直で公正な政治」というキャッチフレーズに対し、党内から「個人攻撃はヤメロ」という批判の声が広がっているのだ。
石破としては、いまだに世論の不信感が強い「森友・加計問題」を意識し、一種の「アネクドート」(ロシアの政治的なジョーク、風刺)で安倍の政治姿勢を批判したのだろう。これに対して、石破支持を決めた参院竹下派から「個人的なことでの攻撃には非常に嫌悪感を覚える」「首相に対する個人攻撃は控えるべきだ」とケチがついたのだから驚きだ。