麻生大臣は年金破綻認めていた 10年以上前に論文で堂々と
「30年間で3000万円必要」――。新たに判明した金融庁の独自試算も「誤解、不安を招くならば不適切」で頬かむりだ。金融庁の市場ワーキンググループ(WG)が報告書にまとめた「老後2000万円貯蓄」問題で、麻生太郎金融相は火消しに躍起だが、本人の言葉とは裏腹に年金不足が「政府の政策スタンス」なのは揺るがない。しかも、麻生氏はとうの昔に「年金破綻」さえ認めていたのだ。
麻生氏は「世間に著しい不安と誤解を与えた」とし、WGの報告書の受け取りを拒否。特に問題視するのは「老後2000万円貯蓄」の前提となる次の表現だ。〈高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は5万円〉が「不適切」だと言うのだが、「5万円不足」を指摘しているのは、金融庁のWGだけではない。各省庁が麻生氏の言う「不適切」な認識を共有している。
例えば総務省。2017年の家計調査年報は「高齢夫婦無職世帯の家計収支」として、5万4519円の「不足分」を指摘。厚労省も今年2月の社会保障審議会企業年金・個人年金部会に「高齢夫婦無職世帯の実収入と実支出との差は、月5・5万円程度となっている」とする資料を提出した。